そもそもDRAMって何?:Q&Aで学ぶマイコン講座(99)(2/5 ページ)
マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初心者の方からよく質問される「DRAMとは何?」についてです。
DRAMの回路構成
DRAMの構成は、至って簡単です。メモリセルは、データを保存するためのコンデンサーとコンデンサーを充放電するN-ch MOSFET(Negative-channel Metal-Oxide-Semiconductor field-effect transistor:以下、NMOS)だけで構成されます。メモリセルを選択する選択信号はNMOSのゲートにつながっていて、NMOSのドレインは、データを入力する入力信号につながっています。入力信号は、データ読み出しの時は、出力信号になります。NMOSのソースはコンデンサーにつながっていて、NMOS経由でコンデンサーを充放電する構成になっています。
DRAMの動作原理
《書き込み》
データ1を書き込みたい時は、入力信号をHighにして、選択信号の電圧をHighにします。するとNMOSがONとなり、コンデンサーが充電されます。コンデンサーには電荷がたまり、データは1になります。
データ0を書き込みたい時は、入力信号をLowにして、選択信号の電圧をHighにします。するとNMOSがONとなってもコンデンサーは充電されません。電荷がたまっている場合は放電されます。そのため、コンデンサーに電荷は無くなり、データは0になります(図2(a))
《読み出し》
データを読み出したい時は、選択信号の電圧をHighにします。するとNMOSがONとなり、出力信号がコンデンサーの電位と同じになります。この時の出力信号の電位変化を検出することで、メモリセルのデータを読み出せます。
その際、コンデンサーの電荷が流出し、コンデンサーの電位が変わるとデータが変わってしまうので、出力信号は、電位の変化だけをセンスアンプで取り出します。
センスアンプは、微小な電位の変化を読み取って増幅させます。信号線の電位だけを検知し、電流は流れない構造になっています(図2(b))
《リフレッシュ》
コンデンサーに充電された電荷は漏れ電流によって、時間とともに減衰します。放っておくとデータが消失しますので、定期的にセルを元のデータに戻す必要があります。これをリフレッシュと呼びます。
リフレッシュはユーザーが行うデータの読み書きとは別のサイクルで行われ、そのサイクルをリフレッシュサイクルと呼びます。リフレッシュサイクルの間は、メモリのアクセスはできません。リフレッシュを行う周期は、コンデンサーにたまっている電荷量と、漏れ電流の量に依存しますので、メーカーによって仕様が規定されています。
リフレッシュの最も簡単な方法は、同じデータの再書き込みです。いったんメモリセルからデータを読み出し、一時的に保持し、そのデータを再度書き込みます。通常、リフレッシュ回路はDRAMの制御回路として内蔵されています。
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