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回転数が不安定……歯科技工のブラシレスモータードライバーを修理(1)Wired, Weird(2/2 ページ)

歯科技工機器の修理業者から、ブラシレスモーターのドライバー不具合について調査依頼があった。不具合現象はモーターのコントロール不良だ。

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ボックスを開けると……大きなトランスと抜けたコネクターが

 コントローラーを開けて最初に目に飛び込んだのが、大きなトランスと抜けたコネクター(図3左の赤丸で囲っている部分)だった。AC100Vをトランスで降圧して、制御電源と駆動電源が作られていた。抜けたコネクターは小型の3Pコネクターだがロックがなく、ケーブルが太めでさらに厚い保護チューブがあり、ケーブルの圧力に負けてコネクターが抜けていた。

 抜けたコネクターの先には3000rpmと4000rpmの切り替えスイッチがあった。図3右の上側には、レバーの操作を伝えるマイクロスイッチと可変抵抗と思われる部品が取付けてあった。抜けていた3Pコネクターをつなぎ直して、外れないようにタイラップでケーブルを金具に固定した。図4右に示す。

抜けていた3Pコネクターをつなぎ直して、外れないようにタイラップでケーブルを金具に固定(右)。左はコントロール基板[クリックで拡大]
抜けていた3Pコネクターをつなぎ直して、外れないようにタイラップでケーブルを金具に固定(右)。左はコントロール基板[クリックで拡大]

 図4左がコントロール基板で、大きなトランスの左側に6個のトランジスタが見えた。これが3相のインバーター回路の出力部と思われた。左上にモーターを接続する基板があり、3個のチョークコイルが実装されていた。このコイルは各相の電流の調整コイルと思われた。

低回転時の駆動波形を確認……見えてきた原因

 AC100Vを通電して、2つのチョークコイルにオシロスコープを接続して出力波形を確認した。図5に示す。

オシロスコープを接続して出力波形を確認[クリックで拡大]
オシロスコープを接続して出力波形を確認[クリックで拡大]

 図5左は30万rpm設定での最大回転数だが測定は500Hzで、ちょうど3万rpmに相当する。p-p電圧は約20Vだった。図5右は4万rpm設定での最大回転数だが測定は670Hzで、40200rpmに相当する。p-p電圧は約30Vだったが安定した周波数と回転状態だった。モーターをケースに押し当てて回転音を確認したが安定したクリアな音だった。

 低回転にした時の駆動波形を確認した。図6に示す。

低回転にした時の駆動波形を確認[クリックで拡大]
低回転にした時の駆動波形を確認[クリックで拡大]

 低回転では駆動電圧が約10Vp-pに下がり、ノイズも大きいので回転数が安定しない理由はここにあるようだ。ペダルを操作して、ローターをケースに押し当てケースの振動音で回転の音を確認した。

 3万rpm設定ではゆっくりペダルを操作しても回転が上下するような振動音が聞こえた。4万rpm設定では安定しているが、回転精度が要求される歯科技工用にはまだまだ調整が必要と思われた。回転が変動する原因がどこにあるか再確認した。次回に報告する。

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