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エッジコンピューティングに最適なストレージ製品を選ぶにはPCIe/NVMeの役割とファームウェアの重要性(1/4 ページ)

エッジコンピューティングはデータの処理方法を根本から変革しています。これに伴いストレージには、高負荷、過酷な環境、長時間稼働といった新たな課題がもたらされています。本稿では、エッジアプリケーションに最適なストレージ製品を選ぶ際に気を付けてほしいポイントを解説します。また、エッジシステムの進展に伴うインタフェースやプロトコルの変化、PCIeとNVMeの役割についても紹介します。

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 エッジコンピューティングはデータの処理方法を根本から変革しています。これに伴いストレージには、高負荷、過酷な環境、長時間稼働といった新たな課題がもたらされています。

 エッジシステムが話題となる場合、その多くはプロセッサやAIアクセラレーターに焦点が当てられ、データストレージについては見落とされがちです。本稿では、エッジアプリケーションに最適なストレージ製品を選ぶ際に気を付けてほしいポイントを解説します。また、エッジシステムの進展に伴うインタフェースやプロトコルの変化、PCIe(PCI Express)とNVMe(Non-Volatile Memory Express)の役割についても紹介します。


出所:スイスビットジャパン

エッジシステムの進化を支えるストレージソリューション

 数年前まで、エッジデバイスといえば、いくつかのRAMとフラッシュメモリを搭載しただけのシンプルなマイクロコントローラーが主流でした。しかし現在では、エンドユーザーに物理的に近いネットワークのエッジ(末端)で、リアルタイム解析やAI推論を直接実行できる新世代の強力なエッジシステムが登場しています。それと同時に、ストレージソリューションに対しては、レイテンシの低減、スループットの向上、エネルギー効率の改善といった新たな要求が課されることになりました。

 そして、これらの課題解決にはPCIeとNVMeインタフェースの導入が大きな役割を果たしています。NVMeはPCIeバスへ直接アクセスできるので、高価なブリッジチップや複雑なドライバアーキテクチャが不要になります。NVMe SSDはデータセンターやサーバ用途で採用が始まった技術ですが、現在ではあらゆるコンピューティング分野に利用が拡大しています。特に、組み込みシステムやエッジコンピューティングの分野では、高速化のニーズに応えるためさまざまなSSDソリューションが生み出されており、用途に最適化された製品の選択/構成が可能になっています。

PCIeはエッジストレージに最適

 PCIeは、複数のレーン(データ伝送路)を組み合わせて高速なデータ転送を実現するシリアルインタフェースです。レーンをx1、x2、x4、x8、x12、x32と束ねて使用することで、データ転送速度の向上や消費電力の最適化が可能です。PCIe 3.0のデータ転送速度はレーン当たり最大1GB/s(8Gbps)で、PCIe 4.0はPCIe 3.0の2倍、PCIe 5.0はPCIe 4.0の2倍の帯域幅を持ちます。

 この仕組みを利用することで、短時間での高いピーク転送速度を実現しつつ、アプリケーションの要求に合わせて消費電力を調整することもできます。これは、限られた基板スペースと電力の下での動作が求められるコンパクトなエッジシステムにとって大きな利点となります。例えば、高性能マルチGPUサーバではx4やx16のレーン構成が用いられますが、エッジデバイスではx1やx2といった少ないレーンでも十分な性能を発揮できるので、基板スペースと電力の節約が可能です。

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