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熊本の大雨で水没した愛車のバッテリー充電にトライしたWired, Weird(1/2 ページ)

2025年8月10日夜、筆者の暮らす熊本で大雨の特別警報が出た。愛車は嫁さんの実家に駐車していた。自宅も嫁さんの実家も井芹川の近くにあり、内水氾濫で駐車していた車は1m近く水没した。翌朝、車を確認。一目で『廃車』という文字が頭の中で横切ったが、車を乾燥させ、数日後にバッテリー充電を試みた。

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1m近く水没した愛車、頭をよぎる『廃車』の二文字

 2025年8月10日夜、筆者の暮らす熊本で大雨の特別警報が出た。筆者の愛車は嫁さんの実家に駐車していた。自宅も嫁さんの実家も井芹川の近くにあり、内水氾濫で駐車していた車は1m近く水没した。翌朝、車を確認すると、座席の30cmほど上まで水につかったようだった。車検証を入れたボックスにも水が入り、車検証も水につかっていた。一目で『廃車』という文字が頭の中で横切った。

 まずは車の内部を乾燥させるためドアを開けた。しかし、運転席以外はドアのロックができなくなっていた。車の遠隔キーを操作したが何の反応もなかった。バッテリーは完全に放電していた。まずは、水没したエンジン部分を乾燥させることにした。図1に示す。

<strong>図1:水没した愛車と、そのエンジン部分</strong>
図1:水没した愛車と、そのエンジン部分[クリックで拡大]

 図1で車のエンジン部分が茶色の泥で汚れていた。しかし周辺家屋は住宅地で泥が出るような場所は少ない。後日の地元新聞で、川の氾濫と内水氾濫が重なった水害だったことがわかった。これで水位が上がったことと、車の内部が泥で汚れた理由がわかった。

乾燥させ、バッテリー充電にトライしたが……

 車を乾燥させて3日後にバッテリーの充電を試みた。市販品の3A程度の充電器をつなぐと4A以上の電流が流れ、車から充電を始めたような音がした。3時間後に確認したところ、充電器の通電表示が消えていて充電完了かと思ったが、充電器のヒューズが切れていた。

 壊れた充電器の代わりに5Aの安定化電源でバッテリーの充電を試みた。充電すると6Vの電圧で車の電装回路が動き出したような音がした。しかし、電圧が6Vを越えると安定化電源から音が出てうなり始めた。この現象から電装ボックス内には水がたまっているようだ。

 乾燥を続け、水没して6日後に充電をリトライしたが、現象は変わっていなかった。電装Boxは、水が抜けないような構造になっていると思われた。この時点で『廃車』を決めた。

壊れた充電器、その原因を突き止める

 2週間ほど毎日、車を乾燥させたところ、シートや床の水分は無くなり、水没後のいやな臭いも消えた。

 今できることは、壊れたバッテリーの充電器の原因調査と修理だ。図2に示す。

<strong>図2:壊れたバッテリーの充電器</strong>
図2:壊れたバッテリーの充電器[クリックで拡大]

 図2は市販のバッテリー充電器で、4A程度までは充電可能だった。右図充電器の内部を開けたが、ヒューズが切れていた。ヒューズを交換して通電したところ、再びヒューズが切れた。LCR-T4でトランスの一次側を測定した。図3に示す。

<strong>図3:LCR-T4でトランスの一次側を測定した様子</strong>
図3:LCR-T4でトランスの一次側を測定した様子[クリックで拡大]

 劣化したトランスの一次側を測定したのが図3左だ。インダクタンス値はなく8.6Ωの抵抗分だけが測定された。図3右で、トランスの一次側にAC100Vを通電した瞬間に火花が飛んだ。トランスを再測定すると、コイルの配線が切れていた。バッテリーを充電した時の過電流で充電器のトランスのコイルが過熱して短絡していたようだ。

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