車両のコア機能を「一元管理」 NXPの新車載プロセッサ:「S32N7」シリーズ(2/2 ページ)
NXP Semiconductors(NXP)は、ソフトウェア定義型自動車(SDV)向けの新しいプロセッサ「S32N7」シリーズの展開に力を入れている。S32N7は、ドメインごとに分散していた電子制御ユニット(ECU)を統合し、配線や電子部品、ソフトウェア構成を簡素化することを狙った製品だ。
各ブロックを分割して割り当て 将来の拡張性も確保
S32N7は、下図のように、複数の機能ブロックを1つのSoC(System on Chip)に統合している。
- LinuxなどのリッチOSが動作するようなCPUコア(図中の「Application Compute」)
- リアルタイムで制御/処理を行うためのCPUコア(図中の「Real-time Compute」)・AI処理を行うアクセラレーター
- イーサネットスイッチ
- I/O
- システムメモリ
などが、主な機能ブロックだ。
これらの各機能ブロックを、モーション/ボディー制御/ADASなど向けに分割し、アイソレーションを維持したまま割り当てられることが、S32N7シリーズの大きな特徴になる。図中の機能ブロックが水色、オレンジ、緑と色分けされているのは「任意の用途向けに分割して割り当てられる」ことを意味している。
「機能ブロックをどのように割り当てるかは、自動車メーカー/ティア1サプライヤーによって異なるだろう。実現したい機能/性能に合わせて、ファイアウォールを細かく動的に実現できる」(小美濃氏)
機能ブロックの分割/割り当ては、「優先すべき処理が後回しされないようにする」ことにも役立つ。「セーフティの基準が異なる機能が統合され、同一チップ上で動作しなくてはならないケースもある。その際、何らかの処理をしているときに、別の処理が待たされることがあってはならない」と同氏は続ける。
例えばドアのウィンドウを上げ下げしているときに、前を走行するクルマに追突してしまう、といったことは許容されない。「ウィンドウを動作させる機能と、目の前を見て追突を回避する機能が、しっかりと独立して動作させられるようにする。これが、S32N7の特徴だ」(小美濃氏)
図中のグレーの部分は「S32N7の余力」に相当する。例えば、モーション(走る・曲がる・止まる)用の性能向上のために使える。I/Oポートも、当初は使用せずに、後から他のECUを接続するといった使い方もできる。「将来の拡張性を実現するための手段として、グレーで示されている“余力”を確保している」と小美濃氏は説明する。
サポート体制も準備
他のS32シリーズに移植しやすい点も、S32N7の特徴だ。「S32N7とアーキテクチャが似ているS32もあるので、移植しやすい」と小美濃氏は説明する。
S32N7シリーズ自体のロードマップとしては、今回リリースしたS32N79に加え、今後はダウンサイズしたものも出てくる。従来品である「S32N55」との間を埋めるような仕様を準備し、S32N7シリーズを拡充していく予定だ。
評価/テストについても、サポート体制やツールを整えている。小美濃氏は「最初は、S32N7シリーズを使いこなすのが大変かもしれない。だが、SDV開発に向け、車載用プロセッサをアップデートしやすいチップアーキテクチャになっている。S32N7シリーズの使い勝手を向上させるツールを用意し、われわれのサポート体制も整えている」と語った。
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![S32N7の主要な機能ブロック[クリックで拡大] 出所:NXPジャパン](https://image.itmedia.co.jp/edn/articles/2605/28/mm260527_nxp03.jpg)
