車載LEDの進化――デザイン性と性能の両立が進む:主要メーカーの新製品を一挙紹介(3/4 ページ)
車載照明向けLEDとLEDドライバーでは、小型化や放熱性能、効率、光出力、色制御を高める技術開発が進んでいる。本稿ではams OSRAMやLumiledsをはじめとする主要LEDメーカーがこの1年に発表した新製品と、その特徴を紹介する。
Diodes
Diodesは、安全性、デザイン性、パーソナライズ性の向上を目的に、車載規格準拠のマトリックスLEDドライバー「AL5958Q」を提供している。48チャンネルの定電流源を備え、最大32スキャンに対応する。車載ダイナミック照明に適し、データや情報を含むアニメーション/ダイナミック照明を生成するために複数のRGB LEDを必要とする、狭ピクセルピッチのミニLED/マイクロLEDディスプレイを対象とする。用途には、センターインフォメーションディスプレイ、クラスターディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、グリル/エンブレム照明、車体LEDパネル、室内灯、リアライトなどがある。
AL5958Qは、インテリジェントなマトリックスディスプレイコマンド機能を内蔵し、ローカルMCU(マイコン)の処理負荷を軽減する。主な機能として、スキャン切り替えによるぼやけを軽減する自動ブラックフレーム挿入、寄生容量に起因するゴーストを除去するための最終スキャンライン/次スキャンラインのゴースト像低減、LED短絡によるキャタピラー状表示の抑制がある。
その他の機能として、LED断線故障ライン、突入電流を最小限に抑える段階的な電流出力遅延、グレースケール強化(低輝度均一性補正)、グレースケールクロックのウォッチドッグタイマー、省電力用スリープモードを備える。
差別化機能として16個のNチャネルMOSFETを内蔵し、スタティック方式とダイナミック方式の両方に対応する。また、グレースケールクロックの周波数を高めることなく、ダイナミックスキャンシステムのリフレッシュレートを向上させる多重パルス密度変調技術を採用する。Diodesによると、これにより高いクロック周波数に起因するEMI(電磁干渉)を軽減できる。
AL5958QはRGBにも対応し、高い16ビット分解能の調光機能と組み合わせることで、極めて精密な輝度制御と混色を実現する。各色グループの電流出力は、3個の外付け電流検出抵抗を使用する方法、または3個の6ビット・グローバル電流制御レジスターをプログラムする方法のいずれかで設定できる。
監視機能向けの高度な診断機能と保護機構も備える。LEDの断線/短絡検出を使用して各チャンネルを読み出すエラーフラグレジスター、UVLO(低電圧ロックアウト)保護、ウォッチドッグタイマーなどが含まれる。
AL5958Qは、ウェッタブルフランクを備えたW-QFN9090-76/SWP(Type A1)パッケージで供給され、周囲温度−40〜125℃で動作する。複数のAL5958Qを制限なくデイジーチェーン接続できる。Diodesは、産業/商用用途向けに標準規格準拠版の「AL5958」も提供している。
Lumissil Microsystems
Lumissil Microsystemsは最近、ソフトウェア定義型の外装照明モジュール用途向けにマトリックスLEDドライバー「IS32FL3776」を発表した。表現力と熱効率に優れた外装照明を組み合わせて実現できる。こうしたシステムはマトリックスLEDパターンを使い、車両の意図、安全状態、運転支援の合図に加え、ブランドの独自性も伝える。
IS32FL3776はQFN-60パッケージを採用し、RGBミニLEDディスプレイ、車幅いっぱいに広がるフロントライトストリップ、グリルランプ、自動運転システム用マーカーランプなどの車載照明機能で使用する、小型で個別制御可能なLED設計に対応する。
IS32FL3776は36チャンネルの定電流シンクと6つのスキャン用電源スイッチ制御を統合し、最大216個のLEDを個別制御できる36×6マトリックスに対応する。この高密度マトリックスアーキテクチャは、外付け部品を減らしながら、大型のインテリジェントシグナルディスプレイ(ISD)照明面を実現することを目的としている。
高品質なアニメーションを実現するため、IS32FL3776は高分解能、高周波のディザリングPWM(パルス幅変調)制御を備え、きめ細かな輝度調整を可能にするとともに、目に見えるちらつきやカメラで撮影した際のバンディングを低減する。高密度LEDアレイ全体で均一かつアーティファクトのない照明を維持するその他の機能として、電流調整、マトリックスのデゴースト、低ヘッドルーム動作、同期スキャンを内蔵する。
このLEDドライバーは高速SPIとLumiBus UARTインタフェースを備え、複数のドライバーICまたは分散配置したランプPCBを同期動作させ、大面積ディスプレイや連動した照明アニメーションを実現できる。
IS32FL3776は、システム効率と熱性能を向上させる機能も備える。DCFB適応制御を使用してLED電源レールを最適化し、適切な電流制御に必要なヘッドルームだけを維持する。また、内蔵ADCとFBOフィードバックピンを外付けDC-DCコンバーターと組み合わせ、大型または高輝度マトリックスディスプレイにおけるドライバーの電力損失を低減する。
さらに、熱性能を最適化するため外付けPMOSの動作にも対応する。Lumissilによると、ハイサイドスイッチングによる電力損失をICパッケージの外部にあるFETとPCBの銅箔へ移すことができるという。
その他、高輝度または高デューティ比のISD照明用途において、電源リップル、EMI放射、可聴ノイズのリスクを低減するスペクトラム拡散PWMクロック、位相遅延制御、段階的スイッチングを備える。また、LED断線/短絡検出、ADCベースの監視、過電流保護、UVLO保護、サーマルシャットダウン、CRCエラー検出など、診断、保護、通信の完全性を確保する機能も搭載する。
Lumissilは、48V車載システム向けに2チャンネルLEDコントローラー「IS32LT3962」も投入した。Lumissilによると、車載照明が12Vシステムから48Vシステムへ移行する中、IS32LT3962を使用することで、照明設計者は電力効率を高め、熱ストレスを軽減するとともに、ワイヤーハーネスのコストと重量を削減できるという。
IS32LT3962は、ハイビーム/ロービームヘッドライト、DRL、方向指示灯などの車載用途向けに、2本の独立した高電圧LEDストリングを駆動する。1個のICで2つの機能、例えばハイビームとロービームに対応するランプドライバーモジュールを実現し、省スペース化できる。2つの出力チャンネルでは各チャンネルの輝度を独立して制御でき、アナログ調光と内蔵/外部PWM調光を組み合わせることで、より小型の照明ソリューションを実現する。
このLEDコントローラーは5〜80Vの広い入出力範囲に対応し、24〜48Vバッテリーシステムで使用できる。各チャンネルで降圧、昇降圧、SEPIC、昇圧の各トポロジーを使用できる柔軟性も備える。その他の機能として、LEDのビニングや外付けNTCを使った温度による電流低減を可能にする2つのアナログ調光ピン、プログラム可能な低電圧時電流低減機能、システムレベルのEMI低減に役立つ180度位相シフトと組み合わせたスペクトラム拡散動作を備える。
IS32LT3962は、放熱性を高める露出パッドを備えた小型WFQFN-32パッケージに収められている。動作温度範囲は−40〜125℃で、Automotive Temperature Grade 1に対応する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


