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TIに見る、アナログ・DSPのワンストップ戦略TI Developer Conference 2006から(1/4 ページ)

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 米Texas Instruments社がアナログICやミックスドシグナルLSI、DSPも提供する、トータルソリューションを強調し始めた。

 リード・ビジネス・インフォメーションが読者を対象に実施した企業認知度調査によれば、今やTI社といえばDSPの認知度が抜群に高い企業である。しかし、アナログの認知度はまだ第4位に位置しており、アナログも忘れずにやっているという印象だ。ところがどっこい。アナログに必要な回路は何でもカバーし、DSPと一緒にアナログLSIも売る、トータルソリューションの考えを強化し始めた。

 温度や圧力、位置、速度、流量、光、音、湿度、映像など、現実の世界はすべてアナログであることに対応した。最新のエレクトロニクスは、このアナログからA-D変換してデジタルで信号系を処理、今度はD-A変換でアナログに戻し、現実の世界を制御するという処理を行っている(図1)。TI社は、この一連の流れと共に、これらを支えるパワーマネジメントをすべて受け持つことを、このほど米テキサス州のダラスで開かれたTI Developer Conference 2006で高らかに宣言した。

図1 アナログからデジタルに渡る信号チェーン
図1 アナログからデジタルに渡る信号チェーン

アナログ・DSPでほぼカバー

図2 米LiberatingTechnologies社の義手(人間の神経信号を受信し動かすことのできる腕と手)を紹介する、TI社社長兼CEOのRichardTempleton氏(右)
図2 米LiberatingTechnologies社の義手(人間の神経信号を受信し動かすことのできる腕と手)を紹介する、TI社社長兼CEOのRichardTempleton氏(右) 

 最新の映像・画像処理を目的とするDSPベースのSoCプラットフォーム「DaVinci」は、民生、非民生を問わず適用できる。D-AコンバータやA-Dコンバータも含めて、図1にある信号系全体をカバーする。これらの狙いは何か。「TIは、常に革新的な先端技術を提供し、全く新しい製品と顧客の完全なソリューションを提供する。しかも市場にはいち早く出す。これら3つの手段により顧客の成功を手伝うことがTIの目的だ」と、初日の基調講演で同社ハイパフォーマンス/アナログ製品担当の上級副社長であるGregg Lowe氏は強調した。

 TI社は技術革新に常に価値を置く。同社社長兼CEO(最高経営責任者)であるRichard Templeton氏は、TI Developer Conference 2日目の基調講演で、「TIは確かに大きな企業ではあるが大きいことが良いことではない。技術革新(イノベーション)こそ生きていく糧だ」と述べている。「イノベーションを推進していくカギは、小さなベンチャー企業との協力を強めることにある」と同氏は続け、ベンチャー企業との協業による成果をデモンストレーションした。

 この中でTempleton氏は、H.264圧縮技術によるセキュリティ用のビデオカメラのアレイやワイヤレスカメラを作ったRice University、人間の神経の電気信号から義手を動かしたLiberating Technologies社(図2、Design News Japan 2月号、http://www.designnewsjapan.com/magazine/2006/02cover.html)、消防士の安全を守るために熱を検出しデータを無線で送るシステムを開発したExtreme Endeavors社と、デモンストレーションを交えて3つの事例を紹介した。

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