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サーミスタを使わずに低損失で突入電流を制限Design Ideas アナログ機能回路:(2/2 ページ)

NTCサーミスタによる突入電流を制限する方法に代わる手法を紹介する。電源ラインに挿入した抵抗を切り替え制御することにより、突入電流を制限するというものだ。

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抵抗R1による電圧降下の変化の例

 図2に、抵抗R1による電圧降下の変化の例を示す。この波形において、エンベロープ(包絡線)の指数関数的な変化と全体にわたる周期的変化が突入電流成分に対応する。後者の周期的変化は、R3とコンデンサC2によりフィルタリングされるため、R4両端の電圧は指数関数的な減少を示すことになる。その結果、突入電流の大きい期間では、トランジスタQ2がオンの状態に保持される。Q2がオンのときはディセーブル端子がローになるため、補助電源は動作を停止する。R1の電圧降下が数ボルトになると、Q1が定電流源として動作しなくなるためQ2がオフになり、補助電源はイネーブルになる。この過程により、電源(主電源)としての全体は、突入電流がR2の抵抗値によって設定された安全レベルに低下するまで待機状態にあることになる。主電源は、スイッチS1が閉になり、R1が短絡されると直ちに動作を開始する。なお、図1の回路において、突入電流防止回路以外の部分は通常のPFC回路として構成したが、一般的な電源としての構成であってもよい。

図2 電流制限抵抗R<sub>1</sub>による電圧降下
図2 電流制限抵抗R1による電圧降下  R1による電圧降下は、PFC回路のコンデンサが完全に充電されるに近づくに連れて指数関数的に減少する。なお、この測定において、R1は40Ω、補助電源は簡略化のために非動作に設定してある。

 図3に、突入電流制限回路およびソフトスタートアップ回路を備えた2.4kWの電源の立ち上がり特性を示した。ソフトスタートアップ回路は、電流の突入過程と電源の始動過程を分離できるようにするために付加している。突入電流は2.4kWの電源としてはやや小さい5Aである。

図3 突入電流制限回路を備えた電源の起動特性
図3 突入電流制限回路を備えた電源の起動特性 

 一方、図4は2.4kWの電力を供給し始めたときの入力電流の変化を表す。突入電流は約5A、負荷電流は約14Aである。

図4 電力供給開始時の入力電流波形
図4 電力供給開始時の入力電流波形 

脚注

※1…"PCB Relay, G2RL," Omron Corp.

※2…"Solid State Relays PCB, 1-Phase ZS/IO Types RP1A, RP1B," Carlo Gavazzi.


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