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電池モジュールのセル電圧を測るその基礎概念から計測/校正の自動化まで(4/5 ページ)

電池モジュールでは、複数の電池セルを直列に接続することで高い電圧を得る。この構成においては、特にセルの数が増えると、コモンモード電圧の存在が原因となって個々のセル電圧を計測するのが困難になる。本稿では、この課題を解決する新たな計測手法について詳細に解説する。

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自動計測のプロセス

 特定のチャンネルに対する計測を行うには、まずプロセッサからトランスへのパルス印加を指示する。その後、電圧が安定するのを待ってA-Dコンバータからデータを読み出し、トランスの動作を止める。このような手順を進めるために、ファームウエアは1msに1回の割り込みを行うルーチンを備えている。

 図11はA-Dコンバータに入力されるクランプ電圧、トランスを励起するパルス、各種デジタル信号の波形である。この図の枠外に併記している文字列は、これらのデータをファームウエアのどこで取り出しているのかを表す。3ビットのデータでラッチIC「74HC574」を駆動することにより、任意のチャンネルのデータを取得できる。


図11 割り込みルーチンで取得した各種信号
図11 割り込みルーチンで取得した各種信号 A-Dコンバータに入力されるクランプ電圧、トランスの励起パルス、デジタル信号などを表示している。枠外には、それぞれの信号に対応するファームウエアのコードを記載した。

 トランスへのパルスの印加は、A-Dコンバータからの8ビットデータを読み出した後に行う。このタイミングでのパルスの印加は、変換動作が完了し、出力レジスタ中のデータが安定している状態で行うので都合が良い。ただし、プロセッサの動作タイミングにもよるが、トランスへのパルスの印加が変換開始前ならば、データ読み出しの前、読み出し中、あるいは読み出し後になっても問題はない。クロックが1MHz程度と遅い場合には、例えばデータの読み出し前にパルスの印加を行うと、励起時間が16μsと長くなる。励起時間に対する唯一の制限事項は、A-Dコンバータへの入力電圧が十分に安定する時間を確保できるかどうかということであり、このことから励起時間を長くし過ぎるべきではないということになる。

 図12は、図11と同じ信号を割り込みルーチン全体にわたって示したものだ。これはチャンネル0を測定の対象としたときの結果だが、ほかのチャンネルにおいても、トランスとA-Dコンバータの入力端のアナログ信号は同様のものになる。

図12 割り込みルーチン全体に対応した波形
図12 割り込みルーチン全体に対応した波形 割り込みルーチン全体では、8チャンネル分をスキャンする。

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