電池モジュールのセル電圧を測る：その基礎概念から計測/校正の自動化まで（5/5 ページ）

電池モジュールでは、複数の電池セルを直列に接続することで高い電圧を得る。この構成においては、特にセルの数が増えると、コモンモード電圧の存在が原因となって個々のセル電圧を計測するのが困難になる。本稿では、この課題を解決する新たな計測手法について詳細に解説する。

[Jim Williams（米Linear Technology社）,Mark Thoren（米Linear Technology社），EDN]

多チャンネル化

　チャンネル数の増設は、いくつかの方法で行える。図13に、64チャンネル化する場合の1つの例を示した。この構成では、64チャンネルを8チャンネルごとのバンクに分け、デコーダIC「74HC138」によってアドレスを設定する。また、1つのバンクに対し、1つのA-Dコンバータを設けている。このA-Dコンバータは、SPI（serial peripheral interface）で制御する。アナログ信号は、8チャンネルのマルチプレクサ「74HC4051」によって選択する。1個のマルチプレクサからの出力を1個のA-Dコンバータの入力に接続する。

　ここで用いているA-DコンバータのLTC1867は、8チャンネルの製品であり、このようにチャンネル数が多い用途に適している。LTC1867は各バンクの最後段に接続する。そのサンプリングレートは200キロサンプル/秒であり、トランスの電圧のサンプリングを1キロサンプル/秒で行うとすると、200チャンネルに対応できることになる。

図13　64チャンネル化する場合の概念図　64チャンネルをマルチプレクサ（74HC138）によって8チャンネルごとのバンクに分ける。

【参考文献】

• Williams, Jim, "Transformers and optocouplers implement isolation techniques," EDN, Jan 6, 1982, p.115.
• Williams, Jim, "Isolated Temperature Sensor," LT198A Data Sheet, Linear Technology Corp, 1983.
• Dobkin, RC, "Isolated Temperature Sensor," LM135 Data Sheet, National Semiconductor Corp, 1978.
• Williams, Jim, "Isolation Techniques for Signal Conditioning," National Semiconductor Corp, Application Note 298, May 1982.
• Sheingold, DH, Transducer Interfacing Handbook, Analog Devices Inc, 1980.
• Williams, Jim, "Signal Sources, Conditioners and Power Circuitry," Linear Technology Corp, Application Note 98, November 2004.