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逆風下も会場は活況、電動自動車関連技術も多数第1回 国際カーエレクトロニクス技術展(1/2 ページ)

カーレクトロニクス関連技術の専門展示会として、『第1回国際カーエレクトロニクス技術展』が、2009年1月28日から30日まで東京ビッグサイトで開催された。自動車と電機、いずれの業界も不況にあえぐ中、逆風と言ってよい環境下での開催ではあったものの、会場は活況を示した。

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一番人気は小型電動自動車

 厳しい状況にある自動車業界だが、ハイブリッド車や電気自動車など電動自動車への高い注目度は衰えていない。『第1回国際カーエレクトロニクス技術展(以下、カーエレ展)』でも、インバータや2次電池などの電動自動車関連技術に加えて電動自動車の実車展示が人気を集めた。


写真1 カーエレ展の小型電気自動車の展示コーナー
写真1 カーエレ展の小型電気自動車の展示コーナー オートイーブィジャパンの「ジラソーレ」、ゼロスポーツの「ゼロEVエレクシードRSリチウムイオン電池仕様」、タケオカ自動車工芸の「T10」、トヨタ車体の「コムス」の4台が展示された。

 展示された電動自動車は、一般的なサイズではなく、全長が2m台、重さが数百kg、最高速度が50〜70km/h、乗員数が2人以下という小型電気自動車である(写真1)。このうち、オートイーブィジャパンの「ジラソーレ」は、2次電池としてリチウムイオン電池を採用しており、満充電時の走行可能距離は120kmに達する。その一方で、価格が248万円と高価なものになっているが、「神奈川県下であれば、国の分も合わせて、最大107万円の補助金が出る」(オートイーブィジャパン)という。


写真3ケーヒンの2輪車用小型次世代ECU
写真3 ケーヒンの2輪車用小型次世代ECU ルネサステクノロジとの共同開発により高耐圧カスタムチップとマイコンを1パッケージ化し、容積40.5cm3、重量45gという小型化を実現した。1998年時点での同社ECUと比べると、容積と重量いずれも約90%削減されている。
写真2 FCXクラリティの燃料電池システム用ECUと関連部品
写真2 FCXクラリティの燃料電池システム用ECUと関連部品 下段にあるのが4つのECUである。上段には関連部品として、水素供給に用いるレギュレータ(圧力弁)、余剰水素を再循環させるイジェクタ(循環弁)、燃料電池内で発生する水を排出するパージバルブ(排水弁)を展示した。

 電動自動車を実現するための技術成果も数多く展示されていた。

 本田技研工業(以下、ホンダ)にECU(電子制御ユニット)を供給しているケーヒンは、ホンダの燃料電池車「FCXクラリティ」に採用された各種ECUを展示した(写真2)。

 展示したのは、サーバーECU、燃料電池発電制御ECU、モーター制御ECU、電圧制御ECUの4つ。一般的なガソリンエンジン車の場合、エンジンを制御するECUは1つだけだが、FCXクラリティのエンジンに相当する燃料電池システムでは、主要部品に専用のECUを持たせることで制御を分散している。ほかにも、世界最小クラスとなる2輪車用小型次世代ECUの展示も行った(写真3)。


 富士電機デバイステクノロジーは、ハイブリッド車のインバータに用いるIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)モジュールの標準品を展示した(写真4)。定格600V/300Aで、1つのパッケージ内にIGBT素子を6個搭載して3相モーターのスイッチングに対応するモジュールと、定格がそれぞれ600V/300A、600V/600A、1200V/450AでIGBT素子を2個搭載した単相分に相当するモジュールの4種類である。「当社のIGBT素子は、過熱状態を検知する温度検出端子を搭載していることを特徴とする。すでに市販のハイブリッド車に採用されるなど量産実績もある。2008年から標準品による提案活動を始めており、引き合いも強い」(富士電機デバイステクノロジー)という。


写真4富士電機デバイステクノロジーのハイブリッド車用IGBTモジュール
写真4 富士電機デバイステクノロジーのハイブリッド車用IGBTモジュール 定格600V/300Aのモジュール(左と中央)は、比較的出力の小さいモーターを採用するハイブリッド車向けである。600V/600A、1200V/450Aのモジュール(右)は高出力のモーターを採用するハイブリッド車向けとなる。
写真5固体電解質材料とコイン型の全固体リチウムイオン電池
写真5 固体電解質材料とコイン型の全固体リチウムイオン電池 固体電解質材料(左)は硫化リチウムをベースとしている。コイン型全固体リチウムイオン電池(右)の容量は10mAhである。

写真6ラミネート型の全固体リチウムイオン電池
写真6 ラミネート型の全固体リチウムイオン電池 容量は100mAh。出光興産では、固体電解質材料、もしくは全固体リチウムイオン電池を2010年に販売することを目指している。

 出光興産は、通常は液体であるリチウムイオン電池の電解質を、独自に開発した固体電解質に置き換えた全固体リチウムイオン電池を展示した。同社が開発した固体電解質材料は、不活性気体下で約400℃まで構造変化がなく、電気化学的にも安定で、液体電解質と同等レベルのリチウムイオン伝導性を達成している。展示した全固体リチウムイオン電池は、この固体電解質材料を使って試作した、コイン型とラミネート型のものの2種類である(それぞれ写真5、6)。液体電解質を使うリチウムイオン電池とは異なり、「100℃の高温環境下でも、良好な放電性能と充放電サイクル特性を持つ。今回試作した電池は、電解液を使うリチウムウイオン電池よりも容量密度が20〜30%低いものの、これについては同等レベルまで向上できる目処は立っている」(出光興産)という。

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