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「強電」の知識を役立てるWired, Weird(2/2 ページ)

強電と弱電はどちらも電気を扱う。強電の知識の中には、弱電に役立つものもある。特に有用なのが「スイッチ」に関する知識だ。

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3路回路/4路回路

 スイッチの危険性に関連したものとして、3路回路を紹介する(図1)。これは、階段や廊下で、2カ所から照明をオン/オフできるようにするために用いられる。これと同じ機能は、図2のようにしても実現できる。ただし、図2の回路の場合、スイッチのところで火花が飛び、放電によって交流電源の両側が短絡してしまう恐れがある。そのため、図2の回路は使用してはならない。

 長い廊下では、3カ所以上で照明をオン/オフできるようにしたいケースがあるだろう。そのような場合に利用できるのが図3の4路回路である。原理は簡単で、図1の3路回路の上下の配線の途中に、つなぎ替え用のスイッチを配置しているだけだ。このスイッチは4路スイッチと呼ばれる。この4路スイッチの部分は、スイッチをいくつでも追加できる。4路回路では、4路スイッチのところで上下の線が短絡しても、照明が点灯するだけである。すなわち、図2のような危険性はない。

図1 3路回路
図1 3路回路 
図2 危険な回路
図2 危険な回路 
図3 4路回路
図3 4路回路 階段や廊下で、3カ所から照明をオン/オフできるようにする。4路スイッチの部分のスイッチの数は、いくつにでも増やすことができる。

2回路スイッチでの失敗

 図2の回路では問題があると知りつつ、図4のような実験用の回路を作ったことがある。この回路では、使用していたスイッチがC接点タイプのものだったので、それを生かしてロジック入力のプルアップ抵抗を省略することにした。またスイッチは2回路入りのものだったので、それらを並列に接続にした。しかし、これがまずかった。

 スイッチをゆっくり操作すると、片方がVCCにつながり、もう片方がグラウンドにつながるタイミングが存在した。その瞬間、電源が短絡してしまうのだ。スイッチを普通の速さで操作しているときには、この問題に気付かなかった。配線を外してスイッチを1つだけ用いるようにしたことで、事なきを得た。

図4 問題の起きた回路
図4 問題の起きた回路 

スイッチの種類と描き方

 スイッチには図5のような種類がある。一般的なのは図5(a)のオルタネートスイッチで、オン/オフの状態を保持する。一方のモーメンタリスイッチ(図5(b))は、手を離すと元に戻るタイプのスイッチである。代表的な用途としては、リモコンなどが挙げられる。

 手で操作するタイプのスイッチは接点がT字型であり、リレータイプのスイッチは接点がマイナス型である。スイッチを横方向に描く場合は上から下に押して動作するように描く。一方、縦方向に描く場合には、右から左に押して動作するように描く。

図5 スイッチの種類と描き方
図5 スイッチの種類と描き方 

電線の定格電流は温度で決まる

 最後に、電線の定格電流について触れておこう。電線の定格電流は、絶縁物の耐熱性によって決まる。1本単独であれば20A流せるとしても、何本か束ねたケーブルになると、放熱が悪くなるため、流せる電流は20Aよりも小さくなる。また、ACケーブルのドラムにケーブルを巻いたままだと、熱がこもってしまい、定格電流値までは流せない。逆に条件が良いのは、冬場の送電線である。使われているのは裸電線だし、外気温も低い。

 定格電流とは別に、電圧降下についても考えなければならない。定格電流は、「この電流値以内なら、電圧降下が無視できる」という保証値ではない。低電圧/大電流の回路では、特に電圧降下に注意を払う必要がある。

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