「アイソレータ」を活用せよ!:より安全な機器を設計するために(4/4 ページ)
絶縁技術を利用することで、機器の安全性を保証したり、ノイズを低減したりすることが可能になる。絶縁を実現するにはアイソレータを適切に選択しなければならないが、それには各種アイソレータがそれぞれどのような手法で実現されているのか、その特性はどのくらいのものなのかといったことを理解しておく必要がある。
トレードオフの検討
アイソレータを選定する際には、さらに複雑な項目についても検討しなければならない。そこでポイントとなるのは、必須の要件とそうでないものを区別することである。一定の耐性を持つこと、あるいはUL規格に準拠していなければならないといった要件により、対象範囲は絞られる。小型であることが必須であれば、光アイソレータは除外し、TI社やSilicon Labs社などが提供する集積度の高い製品を検討することになる。また、USBインターフェースが必要な設計であれば、ADI社が提供している、USBアイソレータと5Vの絶縁電源を実現する2個のチップを検討するとよいだろう。
コストを重視する場合には、Avago社、Vishay社、NECエレクトロニクスが提供する旧式の光アイソレータの利用を考えるとよい。そうした製品は十分な実績を持ち、今でも使い続けられているものなので、陳腐化について心配する必要がない。アナログ方式のレガシーな部品を使用するほうがよいケースもあることを覚えておいてほしい。なお、デジタルアイソレータを供給するすべての企業が、10年間はポートフォリオを維持することを約束している。
必須の要求とそうではない事項を列挙すれば、設計に適した製品にたどり着けるだろう。ただ、部品のEMI/RFI(無線周波数干渉)耐性、磁界、パルス幅の精度、長期的信頼性といったすべての項目について検討は必要だ。用途に対応するテストシナリオを構築し、その部品が適していることを証明できるような環境で部品をテストするとよい。
アナログアイソレータとデジタルアイソレータのどちらを使用する場合でも、部品の動作原理を理解しておく必要がある。容量、トランス、RF、光、GMR、音響など、多くの選択肢があり、いずれも動作が異なる。興味深い例として、アイソレータの動作温度範囲を軍事分野に対応できるよう拡大する取り組みを行っているベンダーが存在する。このような技術の進歩は、すべてベンダーが何十年にもわたって使用してきた絶縁技術の堅固な基盤の上に成り立っているのだ。
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