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DC-DCコンの出力リップル除去IC、10MHz超でも50dBの除去性能を実現マイクレル MIC94300

DC-DCコンバータと負荷の間に挿入すれば、低雑音の電源を負荷に供給できるアクティブフィルタICである。デジタルカメラのCMOSイメージセンサや、各種機器のGPS受信回路、携帯電話機をはじめとした各種無線機器の高周波送受信回路などの電源に利用できる。

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 Micrel Semiconductorは、DC-DCコンバータの出力電圧のリップルを10MHzを超える高周波帯域まで50〜60dBと高い除去比で抑制できるアクティブフィルタIC「MIC94300」を発売した。DC-DCコンバータと負荷の間に挿入すれば、低雑音の電源を負荷に供給できる。マイクレル・セミコンダクタ・ジャパンが2012年2月7日に東京都内で開催した報道機関向け説明会で発表した。


CMOSセンサーの画質や携帯電話の通話品質に効く

MIC94300_図1
DC-DCコンバータのリップル除去用アクティブフィルタIC(クリックで拡大)出典:Micrel Semiconductor

 MIC94300は、電源の雑音を非常に低く抑えることが求められる用途に向ける。具体的には、デジタルカメラのCMOSイメージセンサや、各種機器のGPS受信回路、携帯電話機をはじめとした各種無線機器の高周波送受信回路などの電源として使える。Micrel SemiconductorでPortable ProductsのRegional Product Marketing Managerを務めるKen Mok氏によると、こうした用途では従来、「DC-DCコンバータの出力にインダクタとコンデンサで構成するパッシブ方式のLCフィルタを組み合わせたり、LDO(低ドロップアウト)レギュレータICの中でもPSRR(電源電圧変動除去比)の特に高い品種を使ったりする必要があった」という。このフィルタICを採用すれば、これらの従来手法に比べて、「実装面積を削減できる上、よりいっそう雑音が小さい電源を実現できる」(同氏)と主張する。

 このICには、広帯域動作のパワーオペアンプで構成したアクティブフィルタを集積されている。外付け部品は出力コンデンサが1個で済む。前段のDC-DCコンバータの出力を受け取って、このフィルタで雑音を除去してから、後段の負荷に低雑音の電源として供給する仕組みだ。入力電圧範囲は1.8〜3.6V。出力電圧は常に入力電圧から170mV低い値になる(入出力電圧差が170mV固定)。出力電流容量は200mAである。パッケージは1.2×1.6mmのTMLFもしくは0.88×0.88mmのWLCSP。イネーブル端子を備えており、出力電圧をオン/オフするロードスイッチとして機能させることも可能だ。シャットダウン時の消費電流は0.2μAである。

 リップルの除去性能については、40k〜4MHzの範囲で60dB以上を保証しており、実力はさらに高いという。すなわち、「10MHzを超える周波数帯域まで50〜60dBの除去性能が得られる。LCフィルタを組み合わせる方法でこれだけ広帯域の除去性能を実現するには、非常に大型のインダクタが必要になり、現実的ではない。LDOの高PSRR品でも、ここまで高い周波数帯での除去性能は期待できなかった」(Mok氏)。

MIC94300_図2
低域から高域まで高いリップル除去性能を確保した 左図は、スイッチング周波数が630kHzのDC-DCコンバータの出力スペクトラム。右図は、その出力を「MIC94300」を介して出力したスペクトラムである(クリックで拡大)。出典:Micrel Semiconductor

 実装面積については、次のように説明した。例えばDC-DCコンバータの出力フィルタとして、このアクティブフィルタICに0402サイズの出力コンデンサを外付けすると実装面積は2.6mm2で済むのに対し、0.8mm角の一般的なロードスイッチICに、ともに0603サイズのインダクタとコンデンサからなるパッシブフィルタを組み合わせた場合は、10mm2が必要だという。「所要面積を63%以上も削減できる」(Mok氏)。

MIC94300_図3
実装面積を削減できる(クリックで拡大)。出典:Micrel Semiconductor

LDO混載品も用意

 同社はこの他、このアクティブフィルタICとLDO回路を混載した品種「MIC94310」も発売した。出力電圧を1.8V、2.5V、2.8V、3.0V、3.3Vと異なる値に固定した複数の品種を用意している。入出力電圧差は標準40mV(200mA出力時)。リップル除去性能については、40k〜4MHzの範囲で55dB以上を確保した。その他の基本的な特性やパッケージについては、アクティブフィルタ単機能品と変わらない。

 いずれの品種も、既に量産品の受注を始めている。1000個購入時の単価はアクティブフィルタ単機能品が0.24米ドルから、LDO混載品が0.27米ドルから。「既に日本でも、画像処理やオーディオ処理などを手掛けるユーザーにアルファサンプル品を評価してもらい、興味を持ってもらっている」(マイクレル・セミコンダクタ・ジャパンの代表取締役社長を務める山本一博氏)。なお同社は現在、出力電流容量のさらに大きな品種も開発中だという。

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