「Thunderboltにも使える」、タイコエレが静電容量の低いESD保護素子を発売:タイコ エレクトロニクス SESDシリーズ
「SESDシリーズ」は、±20kVというESD耐圧を確保しつつ、静電容量が双方向で0.1pF、一方向で0.2pFと低い。また、マルチチャネル品の部品高さは、他社品の半分以下となる0.31mmを実現した。
タイコ エレクトロニクス ジャパンは2012年2月、シリコンベースのESD(静電気放電)保護素子「SESDシリーズ」を発表した。±20kVというESD耐圧を確保しつつ、静電容量が双方向で0.1pF、一方向で0.2pFと低いことが特徴。同社は、「業界で最低の静電容量と最高のESD耐圧を実現したESD保護素子だ」と主張する。主な用途は、USB 3.0、HDMI、eSATA、DisplayPort、Thunderboltといった高速インタフェースを搭載する、PC、スマートフォン、デジタル家電、車載情報機器などである。1万個購入時の単価は0.16米ドル。納期は受注から12週間後となっている。
シングルチャネル品の他、チャネル数が2個、4個、6個のマルチチャネル品を含めて合計8品種をそろえる。シングルチャネル品のパッケージは、外形寸法が0.6×0.3×0.31mm(EIA規格の0201サイズ)、もしくは1.0×0.6×0.38mm(EIA規格の0402サイズ)となっている。マルチチャネル品の部品高さは0.31mmを実現しており、他社品と比べて厚みを半分以下に抑えたという。
また、SESDシリーズは、「他社品と比べて静電容量が92%低い」(同社)。このため、高速インタフェースに用いられている差動伝送路に使用しても挿入損失を小さく抑えることができる。例えば、高速インタフェースであるThunderboltにも十分に適用可能だという。さらに、業界標準となっているESD規格のIEC61000-4-2(関連記事)が求める±8kVよりも高い±20kVというESD耐圧を実現している。
その他の仕様は以下の通り。リーク電流は25nAで、ピークパルス電流は2.0A(いずれも標準値)。仕様温度範囲は−50〜125℃。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ESD/イミュニティ試験の基礎をつかむ
電子機器の動作にさまざまな影響を与えるESD(静電気放電)への対策を講じるには、ESDの試験法について理解しておく必要がある。本稿では、デバイスレベルとシステムレベルに分けてESD試験の手法を説明する。また、産業用機器の開発で利用する機会の多いイミュニティ(耐性)試験も紹介する。 - ESD保護デバイスの性能を見極める
電子機器におけるESD対策は、今も昔も変わりなく、設計者にとっての大きな課題である。今日では、最終製品において、従来よりも高いESD耐性が求められるケースも少なくない。しかし、やみくもにESD保護デバイスを追加してもコストの上昇を招くだけだ。そうならないためには、ESD保護デバイスの性能を正しく評価し、必要十分な保護を適用する必要がある。 - ESD対策新時代
携帯電話端末に代表される電子機器の高速化、低消費電力化などに対応するために、新しいデバイス構造を採用した製品の開発が進んでいる。しかし、そうした構造はESDに対し脆弱であることが確認されており、従来の手法では不十分となってきた。本稿では、新たなデバイス構造にも対応可能な最新のESD保護回路設計についてまとめる。