普及価格帯の汎用オシロ、1GHzの2チャネル機が税込み122万円台で登場:アジレント DSOX3102A
アジレント・テクノロジーは、昨年2月に投入した汎用オシロスコープの新シリーズ「InfiniiVision 3000X」に、帯域幅が1GHzの4機種を新たに追加した。競合他社の既存の1GHz機を意識し、価格を2チャネル機で税込122万円台と低く抑えたことが特徴である。
アジレント・テクノロジーは、普及価格帯の汎用オシロスコープ「InfiniiVision(インフィニビジョン) 3000Xシリーズ」を拡充し、アナログ入力帯域幅が1GHzと比較的広い4機種を追加した。4機種の内訳は、アナログ入力のみを備えた「デジタルストレージオシロスコープ(DSO)」でチャネル数が2チャネル、4チャネルと異なる2機種と、DSOを基に16チャネルのロジック入力を搭載した「MSO(ミックスドシグナルオシロスコープ)」が2機種である。2012年2月28日付で4機種の販売と出荷を開始した。
これまで同シリーズでは帯域幅が70〜500MHzの範囲の機種を用意しており、今回追加した機種はそれらの上位に位置付ける。「組み込み機器の分野でも、メモリバスの方式がDDRからDDR2、さらにはDDR3へと進化しており、そのクロック信号の周波数も高くなっている。166MHzを上回るクロック信号を使う機器が増えているのが現状だが、帯域が500MHzのオシロスコープではその波形の3次高調波までしか捕捉できない。そのため、5次高調波まで取り込める1GHz機のニーズが高まっていた」(同社)。
新機種の特徴は、1GHzまで帯域幅を広げながらも、価格を低く抑えたことだ。ロジック入力を備えないDSOの2チャネル機「DSOX3102A」が最も安価で、税別116万5751円(税込122万4038円、2012年2月時点のカタログ価格)である。ロジック入力を搭載したMSOの4チャネル機「MSOX3104A」は、税別181万6502円(税込190万7327円)と、4機種の中で最も高価だ(いずれも、2012年2月時点のカタログ価格)。
これら2機種について、競合他社であるTektronixの汎用オシロスコープ「MSO/DPO4000Bシリーズ」とカタログ価格を比べると、アナログとデジタルのチャネル数が同じなら、1GHz機はもとより、「500MHz機よりも安価だ」(アジレント・テクノロジー)という。
オシロスコープ本来の機能に関する特徴は、既存の3000Xシリーズと変わらない。すなわち、波形更新速度が100万波形/秒と極めて高いことや、ファンクションジェネレータをオプションで本体に内蔵できることなどを訴求する(関連記事)。
さらに今回、4機種の追加に合わせて、新たなオプション機能も用意した。アナログ入力チャネルを3桁のデジタル電圧計(DVM)として利用できる「DSOXDVM」である。オシロスコープのトリガーとは独立に電圧をモニタリングして、測定結果をディスプレイに7セグメント表示する。通常、オシロスコープの波形表示から電圧値を読み取る場合は、縦軸(電圧軸)を大きなレンジに切り替えると読み値の精度が低下してしまう。一方、DSOXDVMの測定精度はレンジを切り替えても3桁のまま劣化しないというメリットがある。このオプションの価格は8550円(税別)。
なお、今回の4機種で1GHzの帯域幅をフルに生かした測定を実施するには、プローブについても1GHz以上の帯域を備えた品種を選ぶ必要がある。具体的には、アジレント・テクノロジーの1GHzアクティブプローブ「N2795A」や同2GHz「N2796A」を使う。これらの価格は、1GHz品が12万4410円、2GHz品が24万3289円(いずれも税別)である。
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