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電子回路で多様な活躍、 交流を通すコンデンサの機能よく分かる! コンデンサの仕組みと働き(2)(2/3 ページ)

コンデンサは、2枚の電極板が向かい合った構造になっています。絶縁体(空気や誘電体)によって隔てられているので、コンデンサは直流を遮断するのは理解できますが、それではなぜ交流を通すことができるのでしょうか?

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コンデンサは周波数が高い交流ほど通しやすい

 周波数の低い交流を低周波、周波数の高い交流のことを高周波といいます。周波数の高低は相対的なものですが、一般に高周波とは、kHz、MHz、GHzといった周波数領域の交流を指します。

 「コンデンサは周波数が高い交流ほど通しやすい」というのも重要な性質です。これを利用すると、ある周波数帯の信号だけを選択的に通過あるいは遮断する回路素子ができます。それがコンデンサを用いたフィルタです。

 電子回路で用いられるフィルタにはさまざまな方式がありますが、コンデンサを用いた一般的なフィルタとして多用されるのは、ローパスフィルタ(LPF)、ハイパスフィルタ(HPF)、バンドパスフィルタ(BPF)の3タイプです。

図5 ローパスフィルタ
図5 ローパスフィルタ

 ローパスフィルタは回路に並列にコンデンサを接続したタイプです。高い周波数の交流ほどコンデンサを通じてアースされてしまうので、低い周波数の交流だけを通過させるローパスフィルタとなります。これをグラフにすると、ある周波数から出力が次第に低下していく曲線となります。

図6 ハイパスフィルタ
図6 ハイパスフィルタ

 ハイパスフィルタはコンデンサを回路に直列に接続します。直流が遮断されるのはもちろん、低い周波数の交流も流れにくいので、高い周波数の交流のみを通過させるハイパスフィルタとなります。グラフにするとある周波数まで出力が次第に増加していく曲線となります。

 バンドパスフィルタというのはある範囲の周波数帯(バンド)を通過させるフィルタです。これはハイパスフィルタとローパスフィルタの組み合わせたもので、グラフでは山形の曲線となります。

 図6のフィルタ回路はコンデンサ(C)と抵抗(R)を組み合わせからなりますが、抵抗の代わりにコイル(L)を用いたものはLCフィルタと呼ばれます。コイルを用いることで、周波数特性の曲線は急峻になり、よりシャープなフィルタ効果を得ることができます。ノイズフィルタなどとしても使われています。

コンデンサとコイルの相反する性質を組み合わせた同調回路

 高い周波数の交流ほど通しやすいコンデンサとは逆に、コイルは直流や低い周波数の交流はスムーズに通すものの、周波数が高くなるにつれ通しにくくなるという性質があります。

図7 同調回路(LC並列型)の基本原理(1)
図7 同調回路(LC並列型)の基本原理(1)

 コンデンサとコイルのこの正反対の性質を巧みに利用したのが、さまざまな周波数の信号から、ある特定の周波数の信号を取り出す回路です。これを同調(チューニング)回路といいます。ラジオやテレビのチューナーの心臓部にもなっています。

 コンデンサとコイルを用いたシンプルなLC同調回路としては、双方を並列につないだタイプと、直列につないだタイプがあります。ここでは並列タイプを例に、同調の原理をご説明します。

 例えば、ラジオの受信機にはアンテナを通じてさまざまな周波数の電波が入ってきます。同調回路のコンデンサは高い周波数の交流をアース側に逃がし、コイルは低い周波数の交流をアース側に逃がします。

図8 同調回路(LC並列型)の基本原理(2)
図8 同調回路(LC並列型)の基本原理(2)

 コンデンサとコイルはそれぞれ役割分担するわけですが、その中間にはコンデンサもコイルも流しにくい周波数というのが現れます。コンデンサもコイルも自分の役割ではないと互いに譲り合い、その周波数でのインピーダンス(交流における抵抗)が極端に大きくなります(電気的な共振現象)。コンデンサもコイルも通しにくいとなると、その交流電流はアース側ではなく出力側に流れます。これによってある周波数だけ選択的に通過させる同調回路となるのです。

 コンデンサとコイルの周波数―インピーダンス曲線を重ね合わせると、急峻な山形となります。この山の部分の周波数が同調点(同調する周波数)です。同調点は、コンデンサの容量やコイルのインダクタンスによって決定します。ラジオなどでダイヤルを回して放送局を選ぶのは、コンデンサの容量あるいはコイルのインダクタンスを変えて、同調点をさぐっているのです。

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