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電子機器の小型化に不可欠なもの超入門! イチから覚える電源回路(3)(2/2 ページ)

【超入門記事です】今回は、電子機器をコンパクトにする“道具”と、その特性について説明します。

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 現在でもヒーターなどに使う人がいますが、それはぜひやめてもらいたいもので、電気はきれいに使いたいものです。この辺は電源設計者のモラルの問題でしょう。なお、直流電圧の平均値はコンセントの電圧AC100Vの45%で45Vとなります。

 では、交流の電気を流すにはどうしたらいいのでしょう。2つのコンセント端子UとVの電位の高い方から低い方へ電気を流せばいいので、図4a、bのご存じ全波整流回路となるわけです。

 図4aで赤のダイオードは端子Uの電位が端子Vの電位よりも高い場合に通電し、負荷抵抗に電流を流します。一方、端子Vの方が高い場合には青色のダイオードが通電し、同様に負荷抵抗に電流を流します。図4bを見ていただくとコンセントにはバランスの良い電流が流れており,電源に優しい回路ということが分かります。

図4a 全波整流回路
図4a 全波整流回路
図4b 各部波形
図4b 各部波形

 負荷抵抗を負荷装置(例えばさまざまなDC/DCコンバータ)と置き換えて考えたとき、電源から見て抵抗器と同じように見えるならば理想的なDC/DCとなることでしょう。

 とはいえ、ちょっと前まではこんなデコボコした直流電圧なんか使えるか! ということでコンデンサインプット型の整流回路が多用されてきました。図5a、bにおなじみのコンデンサインプット型の整流回路を示します。

図5a 全波整流回路
図5a 全波整流回路(コンデンサ・インプット)

 図5aは教科書などで見慣れた回路図です。教科書との違いは電源のところにインダクタンスLの絵が記入されていることくらいです。このLは電源の等価インダクタンスを表しています。

 図5aの回路ではコンデンサCの電圧Vcが負荷抵抗にすべて印加されます。そしてコンデンサCへの充電は電源電圧の方がVcよりも高くなったとき(図5bの赤と青の区間)に行われます。この間はコンセントから負荷抵抗へも電流を供給します。電源電圧がVcの電圧よりも低くなった時点でコンデンサへの充電は終了し、負荷抵抗へはコンデンサからの放電電流が流れます。

図5b 各部波形
図5b 各部波形

 この電流は時定数RCで徐々に減衰します。そして次の半サイクルで電源電圧と同じになった時点から始めに戻ってコンデンサへの充電と負荷への電流供給を行います。このように負荷にとっては、ほぼ一定の電圧を得ることができるため、負荷回路の設計がしやすく多用されてきたのです。

 しかし図5bに示すように、交流側に流れる電流は細長いスマートな形をしています。一方、コンセントの電圧は図のように頭がつぶれた格好となります。これはコンセントの電圧がコンデンサ電圧Vcにほぼ等しくなるためです。

 この電流の形は電源電圧とコンデンサ電圧Vcとの差で決まります。そしてその大きさを決めるのは負荷抵抗RとコンデンサCそして電源のインダクタンスLです。電源からコンデンサへの充電が終了した時点からRCの時定数でコンデンサの電圧Vcは低下して、半サイクル後の電源電圧と等しくなるまで放電します。

 この放電分の電荷を次の半サイクルで補い、負荷で消費する電力とコンセントから供給される電力が釣り合う条件で動作は安定するわけです。負荷抵抗RとコンデンサCが決まると電流の大きさは電源のインダクタンスLによって決定し、コンセント電源の事情により相当広い範囲を考えねばなりません。

 従って電源容量の大きい(Lが小さい)ときには交流側にピークの大きなスマート過ぎる電流が流れることになります。電流波形はスマートだからいいというものではなく、電源系統に高い周波数成分とともにピークの大きな電流を流すことになり電源とっては厄介な存在です。電源に対する擾乱(じょうらん)を極力少なくできるように、現在電源高調波の規制が行われており、少なくともこの規制に従うことが設計者の良心でしょう。設計の容易さだけで回路を決めないようにしましょう。

 このピーク電流を抑えるためには別置きのインダクタンス装備し等価的にLを大きくすればいいのですが、前にもいいましたように低周波ではLの大きさ、質量が大きくなり、解はありません。ではどうしたらよいのでしょうか。


 今回はページ数が増えましたので、この辺で終わりとします。この続きは次回、ご説明します。お楽しみに。

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