知っておきたいLED照明の基礎:いまさら聞けない次世代照明技術(3/3 ページ)
有機EL照明とともに、低消費電力の照明として注目を集めているのがLED照明です。最近は駅や大型施設などにもLED照明の採用が進み、価格もずいぶんリーズナブルになってきました。今回は、LED照明の仕組みを解説します。
LEDダウンライトについて
ダウンライトについては、数年前から地明かりが取れるレベルの明るさのLED照明が商品化され始めています。地明かりを取るためには少なくとも白熱灯の60W相当の光量が必要となりますが、すでに白熱灯60W相当はもとより、白熱灯150W相当以上の光量が出るLEDダウンライトも商品化されてきました。
LEDダウンライトは、明るさだけでなく、照明器具としての効率も白熱灯器具をはるかに上回り、蛍光灯をも凌駕(りょうが)する域に達しつつあります。現在は店舗だけでなく、廊下・通路・トイレなどの共用部などのベース照明として採用される事例が増加しています。
一般的な白熱灯ダウンライトの総合効率は10lm/W程度で、蛍光灯ダウンライトにおいては20〜50lm/Wですが、LEDダウンライトの場合は、総合効率80lm/W程度を実現したLEDダウンライトも発表されています。一般的にLEDは背面に光を出さないため、従来光源に比べて、効率よく前面に光を放出できます。このため、小さな開口部から光を出すダウンライトにおいては、非常に効率のよい照明器具とすることが可能となります。
下表は、具体的なダウンライトの比較事例です。この表から分かるように、LEDダウンライトは、白熱灯だけでなく、コンパクト蛍光灯やHIDダウンライトに比べても大幅に省エネ(高効率)となっています。また、LED照明器具に搭載されているLEDの一般的な寿命が4万時間であることから、6000時間から1万時間でランプを交換する蛍光灯と比べ、メンテナンスコストが低く抑えられる点も、ランプ交換のしにくいダウンライトでは有効なポイントです。
さらにLED自体の特性として、周囲温度が低い環境下でも効率が低下しないという点が挙げられます。蛍光灯は寒い場所や空調の気流が当たる場所では効率が低下し、暗くなるケースがありますが、LEDは、そういった温度や気流による光束低下の心配がありません。
以上のような特長を持つLEDダウンライトは、まだ価格面では高いものの、CO2削減およびメンテナンスコスト削減などの観点から考えて、今後のダウンライトの主力となっていくことは間違いありません。
LED照明の今後の展望
白色LEDは1996年に実用化されて以来、毎年発光効率が向上しており、照明用途においても幅広い商品展開が可能になってきました。今後も効率向上は進むと見込まれており、LED照明の用途展開の幅はますます広がっていくものと考えられます。
LED化する上で最もハードルの高いオフィスなどのベース照明分野については、LED照明器具の効率が、既存のHf形蛍光灯器具レベルに達するのは、2010年以降であると推測されています。価格面での課題も考えると、LEDベース照明の本格普及は、それ以降になると見込まれています。しかしながら、近年の白色LEDの性能向上のスピードから考えると、2020年ごろには、LEDがベース照明の主力となっている可能性もあるのではないかと期待されています。
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