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センサー搭載機器向け32ビットマイコン、高性能アナログ周辺回路に特徴STマイクロ STM32 F3(1/2 ページ)

STマイクロは、Cortex-M4コアを内蔵した32ビットマイコンを拡充する。「ヘルスケア製品などへの内蔵を狙うため、デジタル演算性能はそこそこに、周辺回路は最高のものを付けた」という。

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 STMicroelectronics(以下、STマイクロ)は、英ARMの「Cortex-M4」コアを内蔵した32ビットマイコン「STM32 F3シリーズ」を発表した。周辺回路として搭載するA-Dコンバータに特徴があり、ヘルスケア製品や産業用センサー機器、モーター制御、LED照明制御に向く。

コア性能はミドル、周辺はハイエンド

 STM32 F3シリーズは、動作周波数72MHzのCortex-M4を内蔵し、整数演算性能は94DMIPSである。つまり同社のARMマイコンとしては、ミッドレンジ製品に位置付けられる(図1)。「ヘルスケア製品などを狙うため、デジタル演算性能はそこそこに、周辺回路は最高のものを付けた」(STMicroelectronicsでMMS GroupのMicrocontroller Divisionの32bit MCU Product Line Managerを務めるJean-Marc Mathieu氏)。このような機器では、各種センサーがアナログ信号の形態で出力する情報をマイコンに取り込んで処理する。つまり、高性能A-Dコンバータが必要だ。その高性能A-Dコンバータをマイコンに内蔵したことで、機器全体のBOM(部品)コストや設計コスト、基板サイズを抑えられることを訴求する。


図1 STマイクロのARMマイコン コアは、Cortex-M0とCortex-M3、Cortex-M4に分かれる。Cortex-M4コアはDSP拡張が可能であり、浮動小数点プロセッサ(FPU)を内蔵できる。Cortex-M3同様、メモリ保護機能(MPU)を持たせることもできる。STマイクロのCortex-M4採用マイコンには、FPUもMPUも搭載されている。出典:STMicroelectronics、以下同じ

 「A-Dコンバータなどの機能の数では他社のマイコンとあまり変わらないかもしれない。だが、A-Dコンバータの変換速度やコンパレータの処理速度、プログラマブルゲインアンプの精度などを見てもらえば、他社よりも優れた周辺機能を備えていることが分かるだろう」(Mathieu氏)。

 STM32 F3シリーズは大きく2つの製品ラインに分かれる(図2図3)。「STM32F37x」(F37)と「STM32F30x」(F30)だ。F37は、血圧計や血糖値計、電子体温計、活動量計などのヘルスケア機器や、産業用センサー機器に向ける。16ビットのΔΣ型A-Dコンバータを3個内蔵する。アナログ入力はシングルエンドで21チャネル、差動で11チャネルを利用でき、マルチプレクサで切り替えてA-Dコンバータのコア部に供給する仕組みだ。変換速度は最大50kサンプル/秒。この他、12ビットの逐次比較型A-Dコンバータも1個内蔵する。変換速度は最大1Mサンプル/秒である。


図2 STM32が内蔵する主要な周辺機能 2つの製品ラインに分かれており、内蔵する周辺機能を変えた。クリックして拡大(拡大図にはマイコンの共通機能も示した)。


図3 「STM32F37x」と「STM32F30x」の内蔵機能の違い (クリックして拡大)

 F30は、モーター制御やLED照明制御などのデジタル信号制御に向けた製品。最大5Mサンプル/秒の12ビット逐次比較型A-Dコンバータを4個搭載する他、最大144MHzで動作するタイマーを最大2個搭載する。「タイマーの時間分解能が6.9nsと高いため、LED照明の力率改善やRGBごとの制御などの用途に向く」(Mathieu氏)。この他、精度が±1%と高いプログラマブルゲインアンプを最大4個搭載する。

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