導電性高分子コンデンサ、日本メーカーは「耐圧で勝負」:TECHNO-FRONTIER 2012 電子部品
ルビコンと日本ケミコンは、耐圧が63Vの導電性高分子コンデンサを展示した。「導電性高分子コンデンサは、海外メーカーがかなり低価格で提供している。日本メーカーは、導電性高分子コンデンサの課題である耐圧で勝負するべきだ」と、ルビコンの担当者は語る。
ルビコンと日本ケミコンは、「TECHNO-FRONTIER 2012(テクノフロンティア2012)」(2012年7月11〜13日、東京ビッグサイト)で、63Vと高い耐圧(定格電圧)を実現した導電性高分子コンデンサを展示した。ルビコンの担当者によると、「台湾などの海外製品では、導電性高分子コンデンサの耐圧は、最大16Vくらいが一般的。25Vであれば“高耐圧”とうたわれている。50〜60Vクラスというのは、かなり高い」という。
ルビコンが展示した導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ「PZAシリーズ」(図1)は、2013年春ごろの出荷開始を予定している製品だ。耐圧は35V、50V、63Vの3種類。63V品の静電容量は最大47μFである。ルビコンは、詳細を明かさなかったが、「導電性高分子を合成する際に、新しい重合技術を採用することで、耐圧を上げた」と説明する。
日本ケミコンは、2012年7月に発表したばかりの「HXAシリーズ」を展示した。これは、同社が「導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ」と呼ぶ製品で、電解質に導電性高分子と電解液の両方を使用している。日本ケミコンの担当者は、「これにより、低ESR(等価直列抵抗)という導電性高分子の利点と、高耐圧という電解液の利点を併せ持ったコンデンサを実現できる」と述べる。HXAシリーズの耐圧は、25V、35V、50V、63Vの4種類。63V品の容量は最大56μF。125℃で4000時間の寿命を実現しているので、車載用途などもターゲットとしている。さらに同社は今回、参考出品として、HXAシリーズの100V耐圧品も展示した(図2)。
導電性高分子コンデンサは、電解質に導電性高分子を用いたコンデンサである。導電性高分子は電解液に比べて電子伝導度が高いので、電解質に電解液を使用したコンデンサに比べてESRが小さいという利点を持つ。また、電解液のように温度によって粘性が変わる、ということがないので、温度による特性の変化も少ない。このような利点がある一方で、酸化被膜の修復性に乏しく、耐圧を上げることが難しいという課題がある。
ルビコンの担当者は、「導電性高分子コンデンサは、海外メーカーが限界近くまで価格を下げて製造/販売している。ただし、定格電圧については、25Vクラスでも“高耐圧”とうたっている状況だ。日本メーカーは、導電性高分子コンデンサの課題である耐圧を上げるところで勝負をするべきだ」と語った。
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