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携帯型機器にこそ役立つ「USB 3.0」、Wi-Fiではダメなのか高速シリアルインタフェース技術(1/5 ページ)

モバイル機器にどのようなインタフェースを備えればよいのか、機器設計者の腕の見せ所だ。考え得るインタフェースをずらりと並べる手法もあるが、小型化を考えると得策ではない。USB 3.0はデータ転送速度が高く、電力を送る機能もある。HDMIやWi-Fiと比較したUSB 3.0の利点や欠点を紹介する。

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携帯型機器にこそ役立つ「USB 3.0」、Wi-Fiではダメなのか
高速なだけではないUSB 3.0

 手軽に携帯できるデジタル機器が、人々の日常生活に欠かせないものになっている。多忙な日々を過ごす人々のために、新しいアプリケーションを開発する努力が続けられている。スマートフォンやタブレット端末で各種メディアを再生するような使い方が著しく増えてきた。

知っておきたいUSB3.0まとめ

USB 3.0の基礎を解説しています。併せてご覧ください。記事はこちらから



 こうなると、コンテンツの利用や転送の過程を改善することが、困難だが最も重要な課題の1つだ、ということになる。ストレージ容量とデータ転送速度を改善することが、モバイルシステム設計の成否を決める鍵になってきた。モバイル機器に搭載されるストレージ容量は、1年で2倍というペースで増えており、コンテンツ量の増加傾向に追い付いている。しかし、データ転送速度はいら立つほどに遅いままだ。

USB 3.0のメリットとは

 NPD Group傘下にある米国の市場調査会社In-Statの予測によれば、2015年には「USB 3.0」を搭載した携帯電話機の出荷台数が2億8000万台に達するという。

 USB 3.0は、「USB 2.0」と比較すると転送速度が10倍に増え、新たに追加されたSuperSpeedモードでは5Gビット/秒、すなわち600Mバイト/秒程度に高まっている。20%のプロトコルオーバーヘッドを含めてもデータ転送速度は、約480Mバイト/秒に達する可能性がある。

 USB 3.0は、データ形式による制約を受けないので、高精細ビデオ(High Definition Video)を含めて、どのようなタイプのコンテンツもストリーム転送が可能だ。また、USB 3.0には高度な電力供給(パワープロビジョニング)と、電力管理が導入された。USB 3.0では、動作時に900mAまでの電流をPCから引き出すことができ*1)、プラグアンドプレイ機能もUSB 2.0同様に利用できる。

*1) USB 3.0で供給できる電力を100Wに高める仕様の策定が2012年7月に完了した。USB 3.0の標準化団体であるUSB 3.0 Promoter Groupが策定した「USB Power Delivery Specification」である。

 USB 3.0に含まれる幾つかの省電力モード、例えば、アイドルやスリープ、待機モードを組み合わせることで、電池駆動のモバイル機器の使用時間を長く保つことができる。

 歴代のUSBは、既に60億以上の機器に搭載されており、100%近いモバイル機器で利用できる。現在、最も広く普及したインタフェースになった。USB 3.0はUSB 2.0に対し後方互換性を有するので、消費者がUSB 3.0の使い方を理解して使いこなすのは簡単だ。

 USB 3.0は、消費者にもタブレット設計者にとっても特異なものではない。タブレット型の機器でモバイルコンピューティングを推し進める取り組みの中としては、現在2つのアプローチがある。

 ASUSやAcer、東芝などのメーカーは、旧来から手掛けていたノートPCをベースに小型化する「トップダウン型アプローチ」を採り、一方、AppleやSamsung Electronics、HTCなどのモバイル機器メーカーは、主力とする小型の機器を大型化する「ボトムアップ型アプローチ」を選択している。いずれのタイプの機器もUSB 2.0を利用してきた実績があるので、ノートPCや携帯端末の設計経験がある技術者ならば、USB 3.0への移行はそれほど難易度は高くない。

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