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ZigBeeとIEEEの関係――物理層測定とは?ZigBeeで知る物理層測定の基礎(1)(2/2 ページ)

安価で消費電力が少ないことから照明やセキュリティなどのワイヤレスセンサネットワーク構築で注目を集めている「ZigBee」。本連載では、これからZigBeeの物理層評価を始める方向けに、2.4GHz帯の規格および試験の概要、必要な測定器、測定の際のポイントなどを説明していく。

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 ここで、デジタル変調について少し復習しておきます。

 信号の振幅と位相は極座標ダイアグラムで表現することができます。搬送波(sinωt)が周波数と位相の基準となり、ある時間における信号は、搬送波からの位相差(φ)と振幅(A)を加えて下記のように表されます。極座標上では、信号の位相は0度を基準とした角度に、振幅は原点からの距離に対応しています。


図3 IQ変調

 デジタル変調はIQ変調とも呼ばれますが、これは極座標ダイアグラムを直交座標で表現したものです。極座標上の0度の位相基準にI軸を、これと直交するようにQ軸を設定すると、信号のI軸への投射が“I”成分、Q軸への投射が“Q”成分となります。

 IQ平面上で、信号があるポイントから別のポイントに移動することは、信号の振幅と位相が同時に変化していることを表します。これを振幅変調器と位相変調器で同時に行うのは困難なため、I信号とQ信号に分け、これらを適切に同調させるI/Q変調器が非常に有効です。

 また、デジタル変調信号をシンボルタイミングでIQ平面上にマッピングしたのが、コンスタレーション図です。

 通常、I信号とQ信号は同じタイミングで変化させますが、ZigBeeで使われるO-QPSKは、IQ信号の変化のタイミングを時間的に半周期分ずらしています。


図4 ZigBeeで使われるO-QPSK

 QPSKとO-QPSKはともに、1シンボル当たり2ビットを伝送しますが、IQ信号の変化とそれによって描かれるコンスタレーションを比較してみると違いがよく分かります。O-QPSKは信号がどのように変化しても、IQ平面の原点を通っていません。QPSKに比べて振幅の変動が抑えられるためパワー効率が高く、回路に線形性の低いRFパワー振幅器でも使用できるという利点があります。

 IQ変調に合わせて、拡散方式にDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum:直接シーケンス・スペクトラム拡散方式)が適用されます。ここでは細かく説明しませんが、DSSSは、無線LAN 802.11bでも採用されている一般的な拡散方式で、通信の信頼性を上げるために適用されます。

 IEEEの規格書にはこういったパラメータに加え、物理層で満たすべきさまざまな要件が書かれています。送信パワーもその一例です。ほかには、上で説明したIQ変調器の精度の指標となるEVMやスペクトラム形状、信号の立ち上がり/立ち下がり時間などの送信機としての要件と、受信感度試験などの受信機としての試験があります。IEEEの規格書は、IEEEのWebサイトからダウンロード可能です(※リリースから6カ月経過した802規格は、無料でダウンロードできます)。

 ここまでIEEE802.15.4-2003を中心に説明してきましたが、ZigBeeの物理層評価に必要な情報はこれだけではありません。重要な電波法(技術基準適合証明試験)があります。


 次回は電波法の試験およびIEEE規格との違いについてと、物理層測定に必要な測定器をご紹介します。

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ZigBee | IEEE | 試験 | 2.4GHz帯 | IEEE 802.15.4 | 評価


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