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負性抵抗でオペアンプの負荷を打ち消すDesign Ideas アナログ機能回路

高精度のオペアンプは、高い開ループ利得、低いオフセット電圧/電流、低い電圧/電流雑音、低いひずみを実現している。しかし、すべての仕様を高い精度に維持したままで、高い出力電流を供給するのは難しい。これを解決する方法の1つは、負荷を打ち消すことだ。

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 高精度のオペアンプは、高い開ループ利得、低いオフセット電圧/電流、低い電圧/電流雑音、低いひずみを実現している。しかし、すべての仕様を高い精度に維持したままで、高い出力電流を供給するのは難しい。言い換えると、高精度のオペアンプで低いインピーダンスの負荷を駆動することには問題がある。

 これを解決する方法の1つは、負荷を打ち消すことだ。具体的には、抵抗性負荷がR〔Ω〕の場合には負性抵抗*1)の−R〔Ω〕を並列に接続する方法である。こうすれば、この並列回路の抵抗は無限大になる。

*1)通常、抵抗に電圧を印加すると印加電圧が大きくなればなるほど大きな電流が流れるが、印加電圧を大きくすると、逆に電流が小さくなるものを負性抵抗と呼ぶ。

 図1は、入力から見たときに負性抵抗(RIN=−RNF(R1/R2))を示す回路である。


図1 入力から見たときに負性抵抗を示す回路

 回路定数は、次式から求められる。

 図2は、このコンセプトの具体的な応用例である。初段のオペアンプは、精度が高いことが特徴で、単一利得のバッファーを備える。2段目のオペアンプは、大電流、高帯域、利得が2のドライバーを備えている。負性抵抗段にあるR1とR2は等しいため、入力抵抗(−RNF)は−200Ωになる。これは最初のオペアンプが備えるバッファーの負荷抵抗と比べると極性は逆だが、大きさは一致する。このためバッファーの出力はオープンと等価になる。このバッファーは2段目のオペアンプの正入力を駆動する。そして2段目のオペアンプは負性抵抗を介して負荷を駆動する。

 この回路で駆動できる最小の負荷抵抗は、利得誤差や出力電流の限界、抵抗の大きさの不一致などで制限を受けるが、200Ω程度であれば問題ない。高精度オペアンプを単独で使用した場合は、負荷抵抗がある値(限界値)より低くなると性能が低下してしまう。提案した回路で駆動できる負荷抵抗の大きさは、この限界値よりも下げることができる。ただし使用時には、2段目のオペアンプの利得誤差とオフセット電圧、オフセット電流が最初のオペアンプの精度に影響を与えないように注意しなければならない。なお、この回路のステップ応答は良好で、リンギングは発生しない。


図2 負性抵抗を使って負荷を打ち消す 高精度オペアンプの負荷と負性抵抗を並列に接続する

 今回提案した負性抵抗を用いる回路は、2電源のオペアンプと同じように動作する。負性抵抗によりソース電流とシンク電流の両方に分配できるからである。ドライバーとして使うオペアンプに利得設定抵抗が内蔵されていない場合は、単一に近い正利得を設定できる。その結果、両方のオペアンプに電源電圧を分配することが可能になる。

 この負性抵抗を用いる回路は、高精度オペアンプの出力電圧の振幅を制限してしまう。しかし、用途によっては許容できる範囲である。さらに高精度オペアンプの帯域幅を保証するために、ドライバーとして使うオペアンプには帯域幅がかなり広いものを使う必要がある。

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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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