低振幅・低周波のセンサー出力を扱う、アナログ信号調節の最新テクニック:アナログ設計(5/5 ページ)
現実世界の物理量を検出するセンサーの多くは、検出結果を振幅が小さく周波数が低いアナログ信号として出力する。それを処理するには、直流(DC)付近で利得と精度がいずれも高いアナログ信号調節(シグナルコンディショニング)回路を後段に設ける必要がある。本稿では、センサー出力の処理に向けたアナログ信号調節技術の最新状況を解説する。
アナログフロントエンドを集積化する
センサーソリューションの開発を完了させるためには、多様な要求仕様をすべて満足させなければならない。センサーの駆動条件や出力条件、サンプリング速度、信号パスの較正、センサー自体の性能、自己診断機能、消費電力の許容値などの仕様がある。
開発サイクルを簡素化するとともに開発期間を短縮することは、市場に製品を投入する時期を早めるとともに、開発件数を増やすことにつながる。しかし、既存の開発アプローチのほとんどは、多くの問題の一部に対処しているにすぎない。開発プロセスの多くは個別部品を利用しているため、開発期間の長期化と開発の複雑化を招いている。
そこでTexas Instrumentsは、センサーの出力信号を処理するアナログフロントエンドを集積化したIC(AFE IC)と、同ICを利用するための設計ツール「WEBENCH Sensor AFE Designer」を用意した。AFE ICとこの設計ツールを活用することで、システム設計者は短時間で設計を完了させるとともに、信号経路全体の検証をインターネット上でも手元のPC上でも実行できるようになる。
食品処理や水質管理、化学処理などの工業分野において正確なpH計測を実現するには、極端な温度変化、高い出力インピーダンス、オフセットあるいはドリフトなどの課題を解決する設計が求められる。この課題の解決を支援するのがTexas InstrumentsのAFE IC「LMP91200」である。既存のあらゆるpHセンサーを接続できるとともに仕様を設定可能な小型ICで、センサーとマイコンの架け橋となる(図7)。
図7 AFE IC「LMP91200」の応用例 このチップは、既存のあらゆるpHセンサーを接続できるとともに、仕様を設定可能な小型ICであり、センサーとマイコンの架け橋となる。出典:Texas Instruments (クリックで画像を拡大)
また別のAFE IC製品であるTexas Instrumentsの「LMP91050」は、非分散型赤外線方式ガスセンサー用のアナログフロントエンドである(図8)。用途には、室内の大気品質モニターや換気システム、HVAC(暖房・換気・空調システム)、アルコール呼気検出装置、温室効果ガスモニター、フロン検知システムなどがある。
図8 サーモパイルセンサー用のAFE IC 「LMP91050」は様々なタイプのサーモパイルセンサー(赤外線方式のガスセンサー)をサポートすることが可能だ。出典:Texas Instruments (クリックで画像を拡大)
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