図1は電圧計なしに電池の電圧を測る簡単な回路である。AAAサイズ、AAサイズ、CサイズおよびDサイズ*1)の電池ホルダーがあれば、この回路で電圧計よりも素早く測定できる。電池をホルダーに入れて回路メーターを見るだけである。
*1)AAAサイズは単4、AAサイズは単3、Cサイズは単2、Dサイズは単1。なお、単5はNサイズ。
電圧計だと本体をケースから取り出し、プローブを差し込み、スイッチをオンする必要がある。しかも、プローブの先端を電池の先端に接触させ続けるという厄介な作業が付いてくる。この電圧回路の主要部分は、オペアンプで構成された比較器である。オペアンプの正相入力(非反転入力)における電圧が逆相入力(反転入力)における電圧より高い場合、オペアンプ出力はVCCに等しい。逆に、正相入力が逆相入力よりも低いと、出力はVSSに等しくなる。
すべての正相入力端子はポテンショメーターに接続しておく。ポテンショメーターによって正相入力電圧を制御するためである。逆相入力端子はすべて、電池ホルダーのプラス端子に接続しておく。
ポテンショメーターは、1.2V〜1.55Vの間で0.05V刻みに調整しておく。この調整は、測定が要求する精度に従って0.2Vあるいは0.3V刻みに変えられる。
オペアンプの出力は20ピンのバー状発光ダイオード(LED)に接続する。バー・グラフ・メーターに見えるように、LEDは垂直に並べる。この回路が必要とするLEDは8個にすぎない。
電池の電圧が1.4Vよりも高い場合、5個のLEDが発光する。5個のオペアンプで逆相入力が正相入力よりも大きいからだ。上位3個のLEDは発光しない。それぞれのLEDに組み合わせたポテンショメーターの設定電圧が1.45V、1.50V、1.55Vなので、逆相入力のほうが低いからである。
Design Ideas〜回路設計アイデア集
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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。
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