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PCのハードウエア・モニターで気象を観測Desing Ideas(計測とテスト)

PCのハードウエア・モニター用ICは、さまざまな用途に使われている。気象観測は、その一例だ。

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 パソコン(PC)のハードウエア・モニターは通常、電源電圧、放熱用ファンの速度、それからCPUの温度を監視している。つい最近までこういったシステム・モニターは、ハイエンド・サーバー向けだった。しかし現在は、ハードウエア・モニター用ICが安価に入手できる。このため、パソコンの新製品のほとんどがハードウエア・モニター用ICを標準搭載するようになった。ハードウエア・モニターはさまざまな用途に使われつつある。気象観測がその例である(図1)。



図1 パソコンのハードウエア・モニター用ICを気象観測に利用

 図1のハードウエア・モニター用IC1は、2つの測定チャンネルを備えている。1つは抵抗湿度センサーにつながる。もう1つは外部温度測定用のトランジスタ(2N3906)につながる。回転計入力端子の1つは、風速メーターの出力と接続される。

 気象状態の変化による警報を出すためのしきい値を、ユーザーはそれぞれの測定値に対して設定できる。

 IC1は電流をスイッチさせて測定する方式を採用しているので、数百フィート(30m〜300m)離れたところにセンサーを配置できる。しかも、高い信号対雑音比を確保できる。

 IC1とパラレル・プリンター・ポートの接続は、74HC07のオープン・ドレイン形式の非反転入力バッファーを介する形とする。パラレル・ポートは、2番ピンがシリアル・クロックである。3番ピンはIC1へのコンフィギュレーション・データの書き込みに使う。13番ピンはIC1からのデータの読み出し用である。

 必要なソフトウエアは単純なものである。インターネット経由で入手できるフリーウエアのドライバとDLL(dynamic link library)を使い、パラレル・プリンター・ポートを簡単に制御できる。Visual BasicあるいはVisual C++のようなプログラミング言語を使い、シリアル・クロック(SCL)線とデータ(SDATA)線をビット単位で動かせる。

 温度測定チャンネルは、温度測定用ダイオードを使う。pnpトランジスタあるいはnpnトランジスタを使ったダイオードである。測定では、トランジスタに異なるレベルの電流を供給する。電流を流したトランジスタのベース‐エミッター間電圧の違いから、下式によってIC1は温度を測定する。

   ΔVBE=KT/q×ln(N)

 ここでKはボルツマン定数、qは電子の電荷量、Tは温度、Nは電流の比である。

 CPUの温度モニター用チャンネルは、抵抗値の変化を測定することにも使える。これはフォトダイオードや光伝導体などの抵抗体センサーが使えることを意味する。


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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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