電力損失を最大3割削減するハイブリッドSiCパワーモジュールを発売:三菱電機 SiCパワー半導体モジュール
三菱電機は、ダイオード部にSiC(炭化ケイ素)を用いたハイブリッドSiCパワー半導体モジュール3製品を発売した。家電、産業機器、鉄道車両の各用途でインバータの小型化に貢献するという。
三菱電機は2013年5月9日、次世代パワー半導体材料であるSiC(炭化ケイ素)によるショットキーバリアダイオード(以下、SiC-SBD)を搭載したハイブリッドSiCパワー半導体モジュール3製品を発売した。家電用、産業機器用、鉄道車両用の3製品で、従来のシリコンによるパワー半導体モジュールに比べ電力損失を最大30%低減している。
家電向けの「ハイブリッドSiC DIPPFC/PSH20L91B6-A」は、定格電圧600V/定格電流20Armsで、回路構成はインターリーブの製品。SiC-SBDの搭載により、リカバリー電流を減らしEMIノイズを低減する。最大30kHzの高周波スイッチング動作を実現し、リアクトルを小型化できる。PFC(力率改善)回路や駆動ICも内蔵している。同社従来品の「超小型DIPIPM」と外形寸法の互換性を確保している。サンプル価格は6000円。
産業機器向けの「ハイブリッドSiC-IPM/PMH200CS1D060」は、定格電圧600V/定格電流200Aで、回路構成は「6in1」。シリコンデバイスを用いた従来品「IPM S1シリーズ/PM200CS1D060」と比べ、電力損失を約20%低減した。同従来品とは、ピン配列、外形寸法で互換性があり、搭載する保護機能なども同等となっている。サンプル価格は3万円。
鉄道車両向けの「ハイブリッドSiCモジュール/CMH1200DC-34S」は、「2in1」構成で、定格電圧1700V/定格電流1200Aの製品。従来の鉄道車両向け製品「NシリーズIGBT/CM1200DC-34N」に比べて、電力損失を約30%低減したという。サンプル価格は31万4000円。
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