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不良品でも諦めない! “安売りハロゲンセンサーライトのLED化改造”奮闘記Wired, Weird(3/3 ページ)

筆者は、ホームセンターで安売りされているハロゲンセンサーライトを手に入れ、光源をLED化する改造を試みた。しかし、LEDは点灯しない。不良品をつかまされた筆者は、改造して返品もできないセンサーライトの不具合原因を突き止め、LEDを点灯させる!

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いよいよ不良原因を探る動作確認

 電源回路が分かったので、DC電源を電解コンデンサC2へ直接接続して、センサー部分が正常に動作するか確認してみた。DC24Vの電源を入れたらセンサー部は正常に動作するようで、リレー出力が約30秒間オンした。センサー部は正常なようだ。

 そこで、DC電源を少しずつ下げて動作を確認してみたら、電源がDC23Vより下がると電源投入時に出力がオンしなくなった。この現象から出力のリレーがうまく動いていないように思われる。

“怪しいリレー”をさらに分析

 次にAC100Vを接続して、電解コンデンサC2の電圧をマルチメータで測定したら、DC21.5Vしかなかった。DC電源での確認結果からこの電圧ではこのセンサー基板は正常に動作しない。センサーライトの動作不良の原因は出力部に使用されているリレーに感動電圧が高いものが実装されていたためと推測された。

 リレーを詳細に確認すると、すぐに原因が見つかった。図5にリレーの写真を示す。


【図5】リレーの写真

 図5の写真からリレーの型名は835-1A-B-Cと読めるが、電圧表示部分に傷があり、DC24Vと表示されていた。インターネットでこのリレーを確認したが中国製のリレーのようである。残念ながら、データシートは見つからなかった。だが、一般的なリレーの感動電圧は定格の80%程度であり、このリレーもDC20V程度の電圧をかければ正常に動作できるはずである。

 リレー単体を外して、コイルにDC電源を印加して動作電圧を確認した。やはりDC23V以上の電圧を印加しないとリレー単体でも動作しなかった。このリレーが不良なのはほぼ間違いない。リレー表面の右下にある傷が不良の根源を示しているようだ。恐らく基板の製造時に、基板を落としてリレーに傷が入り、その衝撃でリレーの感動電圧が上がってしまったと推測される。しかし、この基板にAC100Vを印加し動作確認すればセンサーライトの不良は分かったはずだ。

リレー交換で、改造完了!

 不良のリレーを取り外し、代わりに小型のDC24Vリレーを取り付けた。AC100Vで動作確認したら電源投入時に30秒程度で出力がオンし正常に動作した。センサー基板の修理は完了したので、AC100Vと出力の配線を基板にハンダ付けし、センサー基板をライト本体に再び取り付けた。

 LED照明への改造が完了したセンサーライトの写真を図6に示す。


【図6】改造を終えたセンサーライト

 図6の上側にあるようにハロゲンライトの代わりにLED照明を取りつけた。LED照明の回路や説明は2011年11月に掲載した「無効電力を有効利用するLED照明(試作と応用編)」で報告しているので参照してほしい。

“安売りセンサーライト”の意外な一面と、安い理由

 今回は、久しぶりに量産製品の基板を見たが、かなり開発コストをかけているようだ。それはアンプ部とタイマー部を専用IC化することで基板の小型化と大幅なコストダウンを行っていたことで分かった。ここに使用されているSMD 8ピンの専用ICは型名が記載されてなく、インターネットで詳細に画像検索したが、見つからなかった。このICはぜひ市販してほしい。これを使えばセンサーライトの基板がかなり小さくできる。

 細かく基板を確認したらいろいろと問題点が見つかった。一番大きな問題は、白熱球やハロゲンランプの寿命を延ばす工夫がされていないことだ。白熱球は消灯時にフィラメントの抵抗が低く、通電時にフィラメントにラッシュ電源が流れる。このため点灯と消灯の頻度が高いとランプの寿命が極端に短くなる。センサーライトは夜間でのランプの点滅の頻度はかなり高いはずだ。このような用途では一般的にはランプを予熱して寿命を延ばすブリーダ抵抗を付加する対策が取られている。しかし、このセンサーライトにはブリーダ抵抗が付加されていなかった。これではランプの寿命も短くなり、短期間で壊れてしまうのでユーザーにも不評となってしまうだろう。量販店でセンサーライトの価格を下げて販売しているのは、こういう理由があるのかもしれない。

分解修理から得られるものは多い

 電子機器を修理してみると回路構造が理解でき、不良箇所や不良原因が分かると設計者の考え方や設計変更の経緯も少し見えてくる。もし手元に故障して廃棄する電子機器があったら、分解して、部品の構造や基板の回路を調べることを読者にもお勧めしたい。頭や手のトレーニングにもなるし、未知の製品を確認してみることで、新たな発見があるはずだ。

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