三菱電機、初の「第7世代IGBT」採用パワー半導体モジュールを発売:三菱電機 超小型DIP IPM Ver.6シリーズ
三菱電機は、白モノ家電や産業用モーターをインバータ駆動するパワー半導体モジュールの新シリーズとして、同社独自の「第7世代IGBT」を初めて搭載した「超小型DIP IPM Ver.6シリーズ」を発表した。
三菱電機は2013年6月21日から、白モノ家電や産業用モーターをインバータ駆動するパワー半導体モジュールの新シリーズとして、同社独自のIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)「第7世代IGBT」を初めて搭載した「超小型DIP IPM Ver.6シリーズ」を発売する。同社では、「白モノ家電向けとしては業界トップクラスの低消費電力を実現した」としている。
DIP IPMとは、スイッチング素子と、スイッチング素子を駆動、保護する制御ICを内蔵したトランスファーモールド構造のインテリジェントパワー半導体モジュールのこと。
新製品は、スイッチング素子に同社IGBTの最新世代である第7世代IGBTを初めて採用した製品である。第7世代IGBTは、CSTBT(Carrier Stored Trench-Gate Bipolar Transistor)と呼ぶキャリア蓄積効果を利用した独自構造を採用している。この第7世代IGBTの搭載により、新製品は低電流域のオン電圧を従来品(超小型DIP IPM Ver.5シリーズ)に比べ15%低減したという(定格10A/600V品、25℃環境下での1.0A動作時)。加えて、同条件でのIGBTのオン電圧ばらつきも従来の33%から21%に削減し、低消費電力化を図っている。
従来品と同じ24.0×38.0×3.5mmサイズの小型パッケージで、定格電流5Aから最大35Aまでの6製品をラインアップした。いずれの製品も電流制限抵抗付きブートストラップダイオード(BSD)を内蔵した。BSDの内蔵は従来、15A品までであり、大電流対応品でも外付け部品数の削減が可能になった。
内蔵制御ICの短絡保護検知電圧のばらつきを10%から5%に半減させ、短絡電流検出精度が向上し、インバータの過負荷運転範囲を10%拡大できるようになった。従来、定格電流の2倍だった飽和電流も、定格電流の3倍まで引き上げた。これにより、定格電流10Aタイプであれば、従来20Aだったインバータの瞬時通電許容値が30Aまで拡大できる。
新製品のサンプル価格は、定格5A/600V品で900円、同35A/600V品で2600円(いずれも税別)となっている。なお、定格電流20A、30A、35A品は8月28日からサンプル出荷を行う。
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