独自技術でノイズ影響を軽減し、スパイク電圧を捉える6桁半DMM:アジレント Agilent 34461A/34460A
「Agilent 34461A」と「Agilent 34460A」は、6桁半のデジタルマルチメータ(DMM)である。独自のTruevolt技術を用いることで、ノイズなど外部要因の影響を軽減することができ、測定結果の信頼度を改善した。さらに、測定データを処理する機能とその結果を表示する機能も高めた。
アジレント・テクノロジーは2013年6月、6桁半デジタルマルチメータ(DMM)の新シリーズ「Truevolt(トゥルーボルト)シリーズ」として、「Agilent 34461A」と「Agilent 34460A」を発表した。独自のTruevolt技術を用いることで、ノイズなど外部要因の影響を軽減することができ、測定結果の信頼度を改善した。さらに、測定データを処理する機能と、その結果を表示する機能を高めた。電子機器や車載機器、航空/宇宙/防衛用機器などの研究開発、設計検証、製造工程における検査用途に向ける。
Agilent 34461Aは、現行モデルの「Agilent 34401A」と、計測制御コマンドである「SCPI」コマンドレベルで完全互換を実現している。電流レンジは100μA〜10Aに拡張した。Agilent 34460Aは、6型半DMMのエントリモデルと位置付ける。また、両製品とも温度測定機能を搭載した。さらに、ダイオード測定機能を改善することでフルスケール電圧(5V)の測定を可能とした。
新製品は測定の基本性能の向上に加え、使い勝手も改善した。測定データの処理機能を高めたことで、PCを使わなくてもトレンドチャート(Agilent 34461Aのみ)やヒストグラムなどの表示が行える。表示部には4.3型カラーディスプレイを搭載した。もちろん、USBケーブルでPCと接続し、DMMで測定したデータや設定情報、画面イメージなどをPC側に送ることもできる。iOS版のDMMコネクティビティユーティリティソフトウェアを用いると、iPad/iPhoneでDMMの制御や測定データの表示などを行うことが可能となる。
新製品で採用したTruevolt技術は、電源ラインから入ってくるノイズや測定機自体から生じる電流などが、測定したい交流信号に影響を与えないように、A-Dコンバータ技術を用いて排除する技術である。例えば、新製品は注入電流を既存の製品と比べて、最低でも70%削減することが可能となった。また、測定誤差の要因の1つとなる入力バイアス電流にも対応した。
さらに、交流実効値測定にデジタルダイレクトサンプリング方式を採用している。入力信号をサンプリングして測定することにより、狭いスパイク電圧を検出することが可能となった。この結果、最大10のクレストファクタを実現しているという。6桁半クラスのDMMでは、交流実効値測定にアナログRMSコンバータ方式を用いるのが一般的だが、その方式では信号にスパイク電圧が存在していても、捉えることができなかったという。
参考価格(税抜き)は、Agilent 34461Aが11万8421円、Agilent 34460Aが10万3910円。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- リアルタイムスペアナにアジレントが参入、先行する競合を高いRF性能で追撃
スペクトラムアナライザ大手のアジレント・テクノロジーが、テクトロニクスやローデ・シュワルツが先行するリアルタイムスペクトラムアナライザの市場に参入した。高いRF性能を訴求し、シェアの獲得を目指す。 - ワイヤレス給電用解析ツール、アンテナ入出力における特性を総合評価
アジレント・テクノロジーの「PS-X10-100」は、同社のネットワークアナライザ「E5061B」と組み合わせて使う解析ソフトウェアツールである。ワイヤレス給電用アンテナの入出力における交流電圧や電流、電力、電力効率を測定・解析することができる。 - 高精度測定に対応しつつ価格を大幅減、ミリ波対応のスペクトラムアナライザ
アジレント・テクノロジーの「N9010A EXAシリーズ」は、測定周波数の上限が44GHzと高いミリ波対応のスペクトラムアナライザ。ミリ波デバイスの設計や検証に十分使える性能を実現しつつ、従来品に比べて価格を大幅に下げた。