「世界初、世界最小」の1005サイズパワーインダクタ:TDK MLP1005M1R0D
TDKは、1005サイズ(1.0×0.5mm)の積層パワーインダクタ「MLP1005M1R0D」の量産開始を発表した。TDKでは、「パワーインダクタとして世界初の1005サイズであり、世界最小」としている。
TDKは2013年7月9日、1005サイズ(1.0×0.5mm)の積層パワーインダクタ「MLP1005M1R0D」を製品化し、量産を開始したと発表した。TDKでは、「パワーインダクタとして世界初の1005サイズであり、世界最小」としている。サンプル価格は、1個15円。国内の製造拠点で、月産2000万個の生産規模で量産をスタートさせている。
高速DC-DCコンバータ向け
新製品は、1005サイズで高さは0.7mm(典型値、最大値は0.75mm)。従来の小型パワーインダクタ製品(1.6×0.8×0.8mmサイズ)に比べて、体積、実装面積、それぞれで約60%小型化している。
新製品の応用用途と見込むスマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器では、電源システムの小型化を狙って、より小さなインダクタンスのインダクタを使用できる高速スイッチング特性を持つDC-DCコンバータの使用が増えている。新製品は、3M〜4MHzを超えるような高速スイッチングを行うDC-DCコンバータとともに使用することを想定し開発した。
高周波領域での低損失を実現
特に高周波領域で損失を抑制できる低損失フェライトを磁性材料に採用。積層コイルを高精度で印刷する加工技術なども駆使し、1005サイズへの小型化を実現しながら数百mAの電流を扱える低損失特性を実現した。MLP1005M1R0Dのインダクタンスは1.0μH(±20%)、直流抵抗は0.53Ω(±30%)。温度上昇40℃で規定した場合の定格電流は500mAとなっている。
低インダクタンス品、低背品も順次量産へ
TDKでは、2013年9月末までに、1005サイズ、高さ0.75mm(最大値)というMLP1005M1R0Dと同サイズのパワーインダクタとして、インダクタンス0.47μH品と0.33μH品の量産も開始する予定。さらに、1005サイズで高さ0.55mm(最大値)を実現した製品を2013年内に、2014年には高さ0.33mm(最大値)の製品を量産する予定としている。
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