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富士通セミコンがGaNパワーデバイス参入、150V耐圧品をサンプル出荷富士通セミコン MB51T008A

富士通セミコンダクターは、GaN(窒化ガリウム)を用いた150V耐圧パワーデバイスのサンプル出荷を開始した。同社としてGaNパワーデバイスのサンプル出荷は今回が初めて。量産開始時期は2014年中を予定している。富士通セミコンでは、GaNパワーデバイス関連事業ととして2015年度約100億円の売り上げを目指している。

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 富士通セミコンダクター(以下、富士通セミコン)は2013年7月11日、GaN(窒化ガリウム)を用いたパワーデバイスとして、150V耐圧の「MB51T008A」を製品化し、サンプル出荷を開始した。同社としてGaNパワーデバイスのサンプル出荷は今回が初めて。量産開始時期は2014年中を予定している。富士通セミコンでは、GaNパワーデバイス関連事業として2015年度約100億円の売り上げを目指している。

 新製品は、シリコン基板上にGaNを形成する「GaN on Silicon技術」を採用する。トランジスタ構造はHEMT(高電子移動度トランジスタ)構造で、独自ゲート構造を用いて、ゲート電圧がゼロのときにトランジスタに電流が流れない「ノーマリーオフ」を実現した。GaNの材料特性などにより、13mΩの低オン抵抗、16nCの低ゲート電荷量を実現し、従来のシリコンベースのパワーデバイスに比べ、FOM(オン抵抗とゲート電荷量の積)を約1/2に抑えることに成功した。


パッケージにWLCSPを採用した150V耐圧GaNパワーデバイス「MB51T008A」

 パッケージは、寄生インダクタンスの小さいWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)。GaNの利点でもある高速スイッチング特性をより引き出しやすいパッケージを採用して数MHzクラスの高周波動作を実現する。

 富士通セミコンでは、通信機器や産業用製品、車載機器の電源装置に使われるDC-DCコンバータのハイサイドスイッチ、ローサイドスイッチとしての利用を見込む。同社は、「電源回路のスイッチング周波数を高めることで装置全体の小型化と、高い電力変換効率の両立に圧倒的な力を発揮する」としている。

 富士通セミコンは現在、600V耐圧品と30V耐圧品の製品化も実施中。「GaNパワーデバイスに採用したHEMT構造は、富士通研究所が1980年代から開発をリードしてきた技術であり、当社はこの技術の豊富なIPを背景に、GaNパワーデバイスを早期に市場に展開していく」としている。

 なお富士通、富士通セミコンは、マイコン/アナログ半導体事業を2013年9月末までにSpansionへ売却し(関連記事)、システムLSI事業もパナソニックのシステムLSI事業と統合する方針(関連記事)を示しているが、GaNパワーデバイス事業については、FRMA事業などとともに富士通セミコンとして継続して事業を展開する。

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