液晶テレビを低電力化する新たなLED駆動方式:電源設計(5/5 ページ)
世界規模で省エネ化が迫られる中、テレビも当然ながらエネルギー効率を高めなければならない。低消費電力で高画質な有機ELテレビの登場に期待する声も多いが、液晶テレビのバックライト駆動方式を見直すことで、有機ELテレビと同等の消費電力、画質を低価格で実現できる可能性もある。本稿では、将来のエネルギー効率規制を達成することも見据えて、液晶テレビの消費電力低減を実現する新たなLEDバックライト駆動技術を紹介する。
エッジ方式バックライトでのスマート調光
このようなローカルディミング技術は直接式バックライトシステムでのみ実現可能だ。しかし、一定程度のスマート・ディミングならば側面式バックライトの場合にも可能だ。特に、PWMディミングならば、白色LEDの色温度を変えることなく輝度を調整することができる。側面式バックライトLEDの輝度も、パルス幅を変化させることにより特定レベルに固定するのではなくダイナミックに変化させることができる。
もう1つの電力節減方式として動的輝度スケーリング(Dynamic Luminance Scaling:DLS)技術がある。この技術を利用すれば、ある種のシーンでは、バックライト用LEDの出力電力を節減しながらLCDの白レベルと輝度レベルを増強できる。
その他の消費電力節減法として周囲光センサーを利用する方式がある。TVを視聴する部屋が暗い場合には、バックライトの輝度を落とすのだ(図9)。
LEDバックライト方式 | 消費電力削減手法 | バックライト消費電力削減率 | 周囲光センサー併用時の電力削減率 |
---|---|---|---|
エッジ方式 | 位相制御による全体調光 | 5% | 25% |
エッジ方式 | スマート調光(部分調光) | 10〜20% | 40〜50% |
ダイレクト方式 | 局所調光 | 20〜30% | 50〜60% |
テレビメーカーはより複雑な方式を開発しつつある。例えば、スカイプのようなビデオ電話機能をTVで実現するために、カメラがディスプレイに埋め込まれ始めた。このようなカメラは、実際にTVが視聴されているかどうかを検知できるので、無人の部屋でTVがオンされている時にはバックライトの輝度レベルを最小化することが可能だ。
電力消費パターンをカスタマイズする機能さえも実装可能だ。低電力バックライトシステムを使用し、さらにエネルギーに優しいエコモードで視聴するのを望むユーザーもあれば、その一方、フル輝度で視聴したいというユーザーもいるだろう
今日の先端技術がLEDの効率的な駆動のために適用されれば顕著な電力節減が実現されるだろう。これは、新型TVの最大消費電力が、高度な制御技術によって、今後も継続的に低減されていくということを示している。
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