ソフトウェア無線向けRFトランシーバ、広範な周波数帯で動作:アナログ・デバイセズ AD9361
AD9361は、ソフトウェア無線(SDR:Software Defined Radio)に適したRFアジャイルトランシーバである。動作する周波数範囲は70MHz〜6GHzで、チャネル帯域幅も200kHz〜56MHzと広い。計測機器や基地局などに設置される通信インフラ装置、防衛用電子機器といった用途に向ける。
アナログ・デバイセズ(ADI)は2013年10月23日、ソフトウェア無線(SDR:Software Defined Radio)に適したRFアジャイルトランシーバ「AD9361」を発表した。動作する周波数範囲は70MHz〜6GHzで、チャネル帯域幅も200kHz〜56MHzと広い。計測機器や基地局などに設置される通信インフラ装置、防衛用電子機器といった用途に向ける。AD9361およびFPGAメザニンカード(FMC)はすでに量産出荷を始めている。
他社品比「周波数範囲は69%、チャネル帯域幅は111%、拡大」
AD9361は、65nmCMOSプロセスを用い、RFフロントエンドやベースバンド回路、周波数シンセサイザ、およびA/Dコンバータとダイレクトコンバージョンレシーバをそれぞれ2個ずつ1チップに集積している。これにより部材コストの低減と設計負荷の軽減を可能とした。周波数範囲は70MHz〜6GHzに対応し,1Hz単位で設定できるという。また、ベースバンド帯域幅も200kHz〜56MHzと広い。この他、受信側のノイズ指数は2.5dB以下を実現、トランスミッタのEVMは−40dB以下とした。パッケージは外形寸法が10×10mmの144端子CSPで供給される。
AD9361の性能は、携帯電話の基地局用装置向けに開発された競合の他社製品に比べ、「周波数範囲は69%、チャネル帯域幅は111%、それぞれ拡大した」(同社)と主張する。同社でも、WiMAXの周波数帯に特化したRFトランシーバを販売しているが、AD9361は広範な周波数帯に対応したことで、多くの無線通信規格に適応することが可能になったという。さらに、チャネル数も競合製品の1チャネルに対して、AD9361は2チャネル分を備えている。
なお、ADIではAD9361を応用したシステムの開発を支援するためのFMC「AD-FMCOMMS2-EBZ」も用意した。FMCはXilinx用FPGA開発キットと接続して用いることができる。また、回路図やLinuxドライバ、アプリケーションソフトウェアなどの設計資産もADIのウェブサイトからダウンロードして使うことが可能だ。
米国における販売価格はAD9361が175米ドル(1000個購入時の単価)、AD-FMCOMMS2-EBZは750米ドルである。
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