ファンに振り回された!?――ユニット電源の修理(1):Wired, Weird(3/4 ページ)
今回は国産のユニット電源の修理例を報告する。電源の故障は設計不良が原因の場合が多い。だが今回の修理は、非常に良い設計の電源で、いつもと少し違った故障原因が潜んでいるようだ。
端子を確認
AC100Vを通電する前にEWS300の説明資料を確認し、端子台などの接続と意味を理解した。端子台の説明資料を図5に示す。
図5で入力・出力の外線端子のモニター信号の接続が必要だ。しかし、電源の動作確認のためS+とS−のセンス信号の配線をDC5V出力端子に接続せずに確認してみた。
なお、AC100Vを通電して動作を確認するときにいきなりACを印加すると、電源が燃える危険性がある。一次電源側の整流回路が正常に動作していることの確認するため仮の電源(DC+30V)を接続して、一次側整流回路のコンデンサの電圧が正常であることを確認した。結果はDC29Vで一次側の整流回路は正常に動作していた。一次側はほぼ大丈夫なので、AC100Vを通電した。
AC100Vを通電後の一次側コンデンサの直列電圧はDC230Vで倍電圧整流回路は正常に動作していた。またファンのコネクタ端子から補助電源のDC14.1Vが確認でき、DCファンが不規則ながら回転していた。しかし、メイン出力のDC5Vは出ていなかった。
メイン電源5V出力とファンの回転動作を除いて、電源は正常に動作しているようだ。メイン電源のDC5Vが出力されないのはシャットダウン動作が働いているようなので、図4のブロック図でメイン電源の接続とシャットダウン条件を確認した。シャットダウン条件は『入力/出力の過電圧』と『入力/出力の過電流』および『放熱板の過熱検知』の3つであることが分かった。このシャットダウン条件を基板に実装された部品で再確認した。
過電圧が原因か
まずは5V出力の電圧波形を確認してシャットダウンの原因を確認した。オシロスコープの波形を図6に示す。
図6で電源投入後にDC5Vが出力され、徐々に電圧が上がり120ms経過後にDC7.5Vに達して、出力が遮断されていた。これは5V出力の過電圧によるシャットダウンだろう。センス信号S+ S−と電源が配線されていないことが原因だ。
センス信号の配線を接続して、通電し5Vの波形を再確認した。図7に示す。
今度は電源表示のLEDが点灯したが、短時間ですぐに消灯した。波形を確認したらDC5Vが2.5秒間出力されていた。まだ他のシャットダウンの要因があるようだ。
過電流のアラームを確認するために一次回路の電流波形を確認した。電流センスの抵抗25Ωがあったのでこの電圧波形を確認した。図8に示す。
25Ω抵抗の電圧値が44V程度まで上昇していた。電流換算では1.7A程度に相当する。また波形は2.1秒ほど観測されており、過電流検知でのシャットダウンではないと思われた。
残るシャットダウン条件は温度センサーで過熱の検知だが、図4の左側にあるセンサー単体を確認すると……、
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