あらゆる無線周波数規格に対応する高ダイナミックレンジDAC:アナログ・デバイセズ AD9154
アナログ・デバイセズは、帯域幅2.4Gサンプル/秒の高集積クアッド16ビットD-Aコンバータ(DAC)「AD9154」を発表した。オンチップPLLと8レーンのJESD204Bインタフェースを搭載している。
アナログ・デバイセズは2015年3月、帯域幅2.4Gサンプル/秒の高集積クアッド16ビットD-Aコンバータ(DAC)「AD9154」を発表した。帯域は100〜300MHzで、全てのワイヤレス/モバイル機器の周波数規格をサポートするという。
8レーンJESD204Bインタフェース搭載
AD9154は、オンチップPLL(フェーズ・ロック・ループ)と8レーンのJESD204Bインタフェースを搭載。これにより、ワイヤレス・マクロセル基地局、ポイント・ツー・ポイント・マイクロ波無線、軍用無線、無線の試験装置などで必要とされる、マルチキャリアGSMやLTEトランスミッタ(送信回路)を単一のデバイスで可能にするという。
さらに、複素デジタル変調器、入力信号のパワー検出、ゲイン、位相、オフセット補償など、複素IF(中間周波数)送信アプリケーション向けに構成された機能を内蔵した。I/Qデジタル信号ペアをアップコンバートする設計により、生成された複素IF信号は、オンチップのD/Aコンバータ・コアに入力される。
また、複数のインターポーレーション・フィルタのモードにより、デジタル信号のサンプリング・レートをナイキスト周波数まで上げることで、D-Aコンバータ出力後段のフィルタを低コストにできる。他に、直交変調器アップコンバータに対するデジタル信号補正機能も内蔵し、RF(無線周波数)のローカル発振器フィードスルーや不要なサイドバンドを相殺できる。
価格は、88ピンLFCSPパッケージの「AD9154BCPZ」が1000個受注時で単価80米ドル、評価ボード「AD9154-EBZ」が495米ドルとなる。2015年下半期には、16ビット・デュアルチャンネルD-Aコンバータを発売する予定だという。
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