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冷蔵庫の開け過ぎを警告する節電タイマー回路Wired,Weird(2/2 ページ)

今回は、マイコンを使わずに、冷蔵庫などのドアの開けっ放しを警告する回路を作ってみたので紹介する。単純に、開けっぱなしの警告だけでは、物足りないので、短時間に何度も開け閉めした場合でも、警告するような回路も考えてみた。

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“開けっぱなし”の警告だけでは、物足りない

 この回路を作ってみて、希望通りの動作ができたが少し不満があった。それは初段の回路の遅延回路があまり面白くない。それは、ドアを閉めればタイマーがクリアされてしまい、短時間でドアの開閉を繰り返しても警報が出ないことと、回路の構成部品が多すぎることだ。遅延回路と4秒の発振回路を一緒にできればシリアルオシレータの強みが発揮できる。いろいろ回路を考えた末に、ようやく目標の回路図が出来上がった。短時間でドアを開閉した場合も早めに警報が出た。かなりひねったので少し分かりにくいが、回路図を図3に示す。


図3 ドアの開放時間を積算して警報する回路の回路図(改良版)

 図3の回路構成を説明する。図1で初段にあった遅延回路はなくなったが、同様の機能を図3下中央のダイオード、10MΩ抵抗と10uFのコンデンサを長周期の発振回路に付加することで実現できた。発振回路の周期は2.5秒と少し早めにした。

 ブザー回路は同じだが、ピエゾに接続する抵抗を1KΩに小さくした。これはブザーの音を大きくするのが目的だ。

放電を遅くして、ドアの開放時間を蓄積

 図3の遅延回路部の動作を説明する。冷蔵庫のドアが閉まっているときはドアスイッチがオンしており、2.5秒発振回路のコンデンサが放電され、発振は停止している。冷蔵庫のドアが開くとドアスイッチはオフするが、遅延回路部の10uFと発振回路の1uFがダイオードを通して並列に接続されており、時定数は11秒になり、発振回路がオンするのに22秒の時間がかかった。その後は、発振周期が約2.5秒で発振し、ブザーを断続鳴動させた。なお10uFのコンデンサは並列に接続された10MΩの抵抗を通して放電されるので時定数はかなり長い100秒程度になり10uFのコンデンサはすぐには放電しないので、2.5秒の発振動作への影響がなくなる。

 なお、図3の遅延回路部の中にあるダイオードがこの回路の主役で、冷蔵庫のドアを閉めると、2.5秒の発振回路は動作を停止してブザーは止まるが、10uFのコンデンサの放電にはかなり時間がかかるので、短時間で冷蔵庫のドアを開けるとブザーがまた鳴り始める。シンプルな構成でシリアルオシレータの強みを発揮した回路になった。

 図3の回路もブレッドボードに作ってみた。センサーは外してある。図4に示す。


図4 改良したシリアルオシレータによる「ドアの開けっ放し」を知らせる警報回路

身近な材料で作成

 図4で図2にあった遅延回路がないことが分かるだろう。電池、スピーカー、センサーと基板をケースに組み込んでみた。図5に示す。


図5 電池、スピーカー、センサーと基板をケースに組み込んだところ

 図5のケースは豆腐のケースを流用し、ピエゾを貼る台紙は名刺を使った。動作を確認したら、センサーを外して約22秒でブザーが2.5秒周期で鳴り始めた。これで動作OKだ。

完成したけれど……

 冷蔵庫に取り付けて動作を確認しようと思い、嫁さんに相談したら、嫁さんいわく“ウチの冷蔵庫はエコ仕様なので、30秒冷蔵庫を開けたらブザーが鳴るのでいらない”とのことだった。作った冷蔵庫のドアの警報回路は机の上で出番を待っている。

 今回のようなタイマー回路と発振回路はシリアルオシレータが最も得意とするところだ。マイコンで作った回路と比較した場合は、動作する電源電圧の幅が広いこと、小型化できること、消費電流が少ないことなどの利点がある。シリアルタイマーの応用例がまた増えた。

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