未知の回路“ディザー回路”を使った電源の修理:Wired, Weird(3/3 ページ)
焼損したユニバーサル電源を修理しようとしたところ、“ディザー回路”が使われていた。聞きなじみのない回路だ。果たして、“ディザー回路”とはどのような回路で、故障の原因はどこにあるのか? 修理の様子を報告していこう。
サージ耐量の大きいものに交換
さて本業の修理に取り掛る。C18にはサージ耐量が大きい10Φのサージアブソーバを使った。C18の周辺の写真を図6に示す。C18の下の基板が焼けていることがよく分かる。
修理した電源を無負荷で通電して出力電圧を確認したら、DC24.1Vが出力されLEDが点灯した。装置に電源を組み込んで負荷をかけて動作を確認したら正常に動作した。これで修理は完了だ。
新品の電源を取り寄せ確認
念のため予備用に新品の電源を購入した。梱包箱を開封して最新の電源の焼けた箇所を確認してみた。図7に示す。
図7のように購入した電源では、問題のC18として102K(1000pF)1KVのセラミックコンデンサが実装されていた。なお、放熱板に貼り付けた絶縁板が黒い色に変わっていた。これだと部品が焼けても確かに焼け跡は目立たないだろう。しかし『臭い物に蓋をする』ような、おざなりな対策にしか見えない。今までこの同じ電源を4回修理したが4回とも同じ回路が焼損していた。安全を最優先とすべきのDC電源での焼損事故は明らかにまずい。
小さな代替品に置き換わる
ディザー回路を使ったユニバーサル電源はコンデンサの耐圧を低くできるのが長所だ。
この電源は1999年ごろから販売され2015年に販売中止されていた。電源の販売期間が長く、コスト面では良い電源かもしれない。この電源の力率は良いが効率が少し悪く0.8だった。生産中止後の代替えのDC電源は0.83と少し良くなり、サイズが15%程度小さくなり、価格は20%ほど安くなっていた。なお代替電源にはディザー回路は使用されていなかった。
代替品の価格が下がるのは歓迎だが、部品のサイズが変わると本体の改造が必要になり、修理業務にはすこし辛くなる。代替電源を使ってケースに穴あけするより、壊れた電源を修理し電源を延命させる方が最適な対応策だ。
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