Type-Cケーブル、相互接続動作を評価するには?:USB3.1試験の課題(2)(4/4 ページ)
3回にわたって、最新USB規格である「USB3.1」に対応するための試験について解説していく本連載。第2回は、USB3.1デバイス対応として設計された新しいリバーシブル型コネクタType-Cである。全ての機能を1種類のサイズで提供するType-Cケーブルだが、設計や試験の観点からみればさまざまな問題がある。ケーブルとコネクタに対する新コンプライアンス試験について紹介しよう。
今後10年以上にわたり、主流に
相互接続動作を評価する際の最初の“ゴール”は、クリーンなアイダイアグラムを得ることだ。つまり、対象チャンネルが、信号を劣化させることなく伝達できることを確認することである。この試験では、試験対象ケーブルアセンブリに劣化信号(stressed signal)を送り込み、その出力をアイダイアグラムで評価する。既に何度も実証されているように、ケーブルアセンブリが最悪条件まで劣化した信号に対処できるならば、その機能は正確だ。委員会はType-C試験におけるチャンネル両端間での動作に対し3つの性能指数を設定した。
- Insertion fit at Nyquist frequency(ILfitatNq:モデル化した挿入損失特性のナイキスト周波数での値):損失/減衰特性を表す
- Integrated multi-reflection noise(IMR):多重反射ノイズの全周波数範囲に対する積分結果):ケーブルアセンブリの内部多重反射、つまり挿入損失特性カーブのリップルの尺度になる
- Integrated crosstalk(IXT:クロストークの全成分に対する積分結果):ケーブルアセンブリ内部でのノイズカップリングを評価する
コンプライアンス試験では、生のSパラメータデータが抽出される。そのデータがUSB-IF解析ツールにインポートされ、“積分”された応答と挿入損失の傾向を示す適合直線が生成される。このツールにより、対象ケーブルアセンブリの合否が決定される。不合格になった設計の問題部分を特定しデバッグするには参考試験が役立つだろう。現状は、Type-Cコンプライアンス試験および解析はMOI(Method of Implement)文書によりサポートされている。
MOI文書にはフィクスチャ、ソフトウェア、オシロスコープの設定に関する説明とともに、計測の進め方について詳細なガイダンスが含まれている。ケーブル試験に必要なフィクスチャは、USB-IFがType-Cフィクスチャを直接は提供しないようになったので、サードパーティーから入手することになるだろう。ただし、USB-IFは、従来のトランシーバ/レシーバ向け電気的コンプライアンス試験用のType-C試験フィクスチャは、引き続き提供する予定だ。
Type-Cコネクタは、次の10年間、さらにその先も主流になるだろうといわれている。一般ユーザーに、新しい時代の利便性を提供する先駆けとなっていくだろう。
Type-Cコネクタは、高速のデータ通信とデバイスへの電力供給、ビデオ/オーディオストリームの処理など全ての機能を搭載し、ひっくり返して挿入する必要もなく、しかも最小限の電磁波放射で提供するのである。
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