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電気2重層キャパシタで電池の出力を高めるDesign Ideas パワー関連と電源(2/2 ページ)

電池で駆動する電子機器は、消費電流の平均値はそれほど大きくない。しかし、瞬間的にでも大きな電流を供給するためには、エネルギーの大きな電池を用意する必要がある。そこで、エネルギー容量の大きな電池を使わなくて済む、電気2重層キャパシタを電池に組み合わせた電源回路を紹介する。

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 使用した電気2重層キャパシタは米Cooper Bussmann社の「PowerStor」だ。静電容量は1.5F、電圧は2.5V、型名は「A1030-2R5155」である。比較器ICのIC1には、1.245Vの基準電圧源が内蔵されている。この比較器ICで電気2重層キャパシタの出力電圧を監視する。R3を付加することで0.5Vのヒステリシスを持たせた。比較器ICに印加される電圧が1.7Vより低い場合には、比較器ICの出力論理がローレベルに変化してpチャンネルMOS FET(Q1)をオンする。

 この状態ではリチウム電池が電気2重層キャパシタを充電する。電気2重層キャパシタの電圧が2.5Vに達すると、直ちに比較器ICの出力論理がハイレベルに変化して、今度はQ1をオフにする。この出力論理の変化を点Aで取り出せば、電気2重層キャパシタの充電完了検出が可能である。また、点Aの信号をマイコンの割り込み信号として利用することもできよう。

 もう一方のpチャンネルMOS FET(Q2)は、電気2重層キャパシタの放電を制御するスイッチとして機能する。図1中の点Bがフローティング状態のときは、スイッチはオフである。スイッチをオンするには、オープン・ドレインあるいはオープン・コレクタ接続のトランジスタを使って点Bをプルダウンすればよい。

 Q2がオンした状態では、電気2重層キャパシタの出力電圧は時間の経過とともに低下する。このため、負荷に定電圧を供給したい場合には、昇圧型のDC-DCコンバータを用意する必要がある。電気2重層キャパシタから取り出すエネルギーの損失を低く抑えるためには、入力電圧の下限がなるべく低いDC-DCコンバータを採用する。例えば、米LinearTechnology社の昇圧型DC-DCコンバータIC「LTC3402」を用いれば、安定した3.3V出力が得られる。LTC3402は最小0.5Vと低い入力電圧で動作可能である。電気2重層キャパシタに蓄えられるエネルギー量を1/2V2Cとすれば、DC-DCコンバータICの出力で1/2((2.2V)2×1.5F−(0.5V)2×1.5F)=3.4Jのエネルギーを取り出せる。


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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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