PMBus対応DC-DCコンバータIC、周波数同期機能でEMI低減:日本TI TPS544B25/544C25
日本テキサス・インスツルメンツの「TPS544B25」と「TPS544C25」は、周波数同期機能やアダプティブ電圧スケーリング(AVS)機能を備えたPMBus搭載の同期整流降圧型DC-DCコンバータICである。
日本テキサス・インスツルメンツは2015年8月、周波数同期機能やアダプティブ電圧スケーリング(AVS)機能を備えたPMBus搭載の同期整流降圧型DC-DCコンバータIC「TPS544B25」と「TPS544C25」を発表した。通信装置やコンピュータ、データ記憶装置などに搭載されるASIC用電源回路などの用途に向ける。
TPS544B25は出力電流が20A、TPS544C25は同じく30Aの製品である。いずれも精度が0.5%の電圧リファレンスと完全差動型リモート電圧センシング機能を内蔵しており、ASICなどへの最適な電力供給を可能とした。外部クロックへの周波数同期機能もサポートしており、ビートノイズの防止やEMIを低減した。2製品とも入力電圧範囲は4.5〜18V、スイッチング周波数は最大1MHz、動作温度範囲は−40〜125℃となっている。
2製品ともピンストラッピング機能により、PMBusコマンドがなくても、1本の抵抗で設定された出力電圧でのスタートアップが可能である。この他、プログラム機能や出力電圧、電流、外部温度のリアルタイム監視機能、PMBusを介したフォルト・レポート機能などにより、電源回路設計の簡素化や信頼性向上、部品点数とシステムコストの節減を可能にする。
TPS544B25とTPS544C25はすでに量産を始めている。パッケージは外形寸法が縦5mm×横7mm×高さ1mmの40端子PowerStack QFNで供給する。参考価格は、1000個購入時の単価がTPS544B25は4.08米ドル、TPS544C25は4.49米ドルとなっている。
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