USB 3.1/Type-Cのトランスミッタテスト:USB Type-Cの登場で評価試験はどう変わる?(3)(1/4 ページ)
今回は、「USB 3.1/Type-Cのトランスミッタテスト(送信品質評価)」について、テスト用フィクスチャを活用することで、より正確により早く測定/評価するための手法などについて述べる。
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⇒ | 第2回 コネクタ/ケーブルの評価では、新しい概念も |
Type-CコネクタはUSB 3.1 Gen2(SSP:SuperSpeedPlus)の高速伝送に対応し、またコネクタの表裏反転(フリップ)などの従来にない機能を備えている。その分、通信の信号品質などを評価するための作業はより複雑となっている。本稿ではテスト用フィクスチャを活用して、USB 3.1/Type-Cの送信品質評価をより正確に、より早く測定/評価するための手法について紹介する。
USB 3.1 Gen2は、伝送レートが最大10ギガビット/秒(Gbps)である。従来のGen1(SS:SuperSpeed)に比べて、伝送レートは2倍となり、よりオーバーヘッドの少ないエンコーディング方法に変更されたことで、実際のスループットは2倍以上に向上することが期待される。また、最大23dB(5GHz)の伝送ロスを想定して規格化されている。厳しい条件下でも十分な信号品質を確保できるよう、イコライザやディエンファシス(De-emphasis)など信号補正技術もGen1と比べて強化されている。
USB3.1は、「PCI Express」や「SATA(Serial ATA)」といった接続インタフェース規格と同様に、伝送ロスを前提として仕様策定された通信規格である。つまり、接続する機器間で、許容されている最大の伝送ロスが生じても、問題なく通信できる送受信モジュールや伝送路の設計を行わなければならない。
USB 3.1 Gen2では、送信側のTxチップから受信側のRxチップまでの伝送ロスは合計で最大23dB@5GHzである。ホスト機器/デバイス機器内では、それぞれ最大8.5dBのロスが許容されている。ケーブルでのロスは最大6dBである。この許容値は、機器内伝送路長で約12〜13cm、ケーブル長で1m程度に相当する。なお、送信側では3タップのイコライザ(PreshootおよびDe-emphasis)を、受信側ではCTLE+DFEの2段のイコライザをそれぞれ用いる。つまり、最大23dBの伝送ロスがあっても、送信された信号を受信側でイコライズした後に、規格で定められたアイマスクをクリアするようにシステムを設計しなければならない。
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