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電池残量検出ICの電流スパイク耐性を高めるDesign Ideas パワー関連と電源(1/2 ページ)

今回は、電流検出ICの電流スパイク耐性を、さまざまな側面から改善する回路を紹介する。

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 Texas Instrumentsの電池残量検出IC「BQ2010」は、ニッケルカドミウム電池やニッケル金属水素化物電池の残量を判定するのに便利である。しかし、残量がまだ十分あるのに、条件によっては、過渡的なスパイク電流によって、放電した電池であると誤った判定をしてしまうことがある。例えば、加熱素子や、大容量の入力コンデンサーを持つスイッチングレギュレータを接続するときや、電池を接続しようとして端子間を瞬間的に短絡したりすると、スパイク電流が発生する。

 電流スパイクが発生すると、電池の電圧において、その内部抵抗による電圧降下と回路の電流検出抵抗による電圧降下の和の分だけの低下が発生する。BQ2010は、この電圧低下を放電のときに発生するような状態を低電池電圧であると誤った判断をしてしまう。

 その結果、残量に関するデータがすべて消滅し、アプリケーションによっては、BQ2010のEmpty(空)出力が働いて、負荷を切り離してしまうこともある。こうなると、電池を幾分充電して、BQ2010のEmpty出力をリセットしなければならない。

 これらの問題をどのように解決すればよいだろうか。解決方法の1つが、図1の回路である。この回路ではBQ2010の電流スパイク耐性をさまざまな側面から改善し、有用な機能をいくつか付加してある。第1に、3.3V用電流制限型の低電圧損失電圧レギュレータIC4は、IC1(BQ2010)に電力を供給する。


図1:電池残量検出機能を構成する回路 (クリックで拡大)
BQ2010の電流スパイク耐性を改善するとともに、有用な機能が付加されている。

 第2に、LTC1477短絡保護ハイサイドFETスイッチIC5は、電池から負荷への電流を最大2Aに制限する。IC1のSB(単一セル電圧)モニターピンが誤ったEmpty状態を検出しないよう、電流補償アンプIC3Bは、SBピンへの電圧が電流に依存しないようにする。

 IC3Bの負電源側は、アース側を基準とする電流検出抵抗R4の電池側に接続されている。負荷電流がゼロのときにはオペアンプIC3Bの出力が0Vでなければならないが、出力が0Vになるようなレールツーレールオペアンプはまずない。

 これらを解決するには、オペアンプの正相(+)入力側を十分にバイアスして出力をVOLより高く設定し、電圧検出抵抗比を下げて補償すればよい。

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