検索
連載

不良シーケンサの修理――配慮のない設計が招く必然の故障Wired, Weird(2/3 ページ)

今回は、最悪ともいえるような不具合を抱えたシーケンサを修理したので、その模様を紹介していこう。電気製品の設計で配慮しなければならない非常に大切な要素を無視した“不良シーケンサ”を反面教師にしてもらいたい。

Share
Tweet
LINE
Hatena

リチウム電池から電池の液が大量に……


図3:不具合の重要な写真 (クリックで拡大)

 図3は見れば説明不要と思われるが、シーケンサはデータのバックアップ用にリチウム電池が実装されていた。しかし、電池の実装場所がCPU基板の真上にあり、これが最悪の場所だった。図3で黄色に見える部分(黄四角)にはリチウム電池の+端子から電池の液が大量に漏れて、電池の下とCPU基板上に広がっていた。CPU基板全体の写真を図4に示す。


図4:CPU基板全体の写真 (クリックで拡大)

 図4でCPU基板の部品を詳細に確認したら、電池の+端子の配線が漏れた液で腐食し、断線していた。またCPU基板上には漏れた電池の茶色い液が広がっていた。CPU基板のパターンが腐食し、ディスクリート部品が変色し、SMT(表面実装)部品のリードフレームも白色に変色していた。この状況ではとても修理は無理だろう。取りあえず電池を取り去り、CPU基板を水で洗浄して乾燥させた。CPU基板の修理はひとまず放っておくしかない。

今回も電解コンデンサーが液漏れ

 シーケンサへAC100Vを通電した時に電源表示が点灯しなかったので、電源基板にも不良があると思われた。まずは電源基板を取り外して部品や基板を確認したが、以前に修理したシーケンサと同じ状況だ。電解コンデンサーを取り外した写真を図5に示す。


図5:電解コンデンサーを取り外した写真 (クリックで拡大)

 図5で分かるが、今回も電解コンデンサーが液漏れしていた。しかし、漏れた量が少なく、基板上には流れていなかった。電解コンデンサーを外したら漏れた電解液で基板が黒くなり、漏れた液が電解コンデンサーの下に広がっていた。前回と同様に基板表面を水洗いしブラシでこすって付着した電解液をクリーニングした。

 その後、水分を拭いてドライヤーで乾燥させた。十二分に乾燥させた後で代替の電解コンデンサーを実装した。シーケンサに組み込んでAC100V通電したら端子台にDC24Vの電源が出力された。これで電源基板は大丈夫だろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る