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不良シーケンサの修理――配慮のない設計が招く必然の故障Wired, Weird(3/3 ページ)

今回は、最悪ともいえるような不具合を抱えたシーケンサを修理したので、その模様を紹介していこう。電気製品の設計で配慮しなければならない非常に大切な要素を無視した“不良シーケンサ”を反面教師にしてもらいたい。

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電池は必ず液漏れする

 さて、ひとまず放っておいたシーケンサのCPU基板の修理だが、どうしたらいいだろう……。あまりにも漏れた電池による被害が大きすぎてとても手が出せない。

 取りあえず乾燥させたCPU基板をシーケンサに実装してAC100Vを通電したらやはりCPU異常が点灯した。しかしCPU基板を修理するのは無理だろう。代替のCPU基板をなんとか入手し、シーケンサの修理を完了した。

 修理の仕事で一番難しいのは腐食した基板の処理だ。特に電解コンデンサーや電池が液漏れをおこすと周囲のパターンだけでなく、電子部品も破損してしまう。この液漏れがなくなれば電気製品の信頼性は格段に向上するだろう。他の修理品でもリチウム電池が液漏れし、基板上に液が流れ電子部品を破損させた例があった。

 今回この記事をあえて開示したのは、読者にリチウム電池の液漏れが基板を腐食させ、回復できなくなること、そして『電池は必ず液漏れする』ことを十分に理解し電池の実装方法や実装場所を考えて欲しいと思ったからだ。

 ちなみに三菱電機製のシーケンサ「FX1」の次のシリーズの「FX1S」も修理する機会があったので、電池の液漏れの対策をどのように解決しているか確認した。図6に写真を示す。


図6:三菱電機製のシーケンサ「FX1S」 (クリックで拡大)

 FX1Sではリチウム電池は使用されておらず、代わりにスーパーキャパシターが使用されていた。スーパーキャパシターの液漏れは報告されておらずこのシーケンサは長寿命で安心して使えるだろう。

 またシーケンサの研修を受ける機会があり、最新のシーケンサの電池の実装を確認した。CPUユニットの下部に電池が実装されており、万が一電池の液漏れがあっても基板上には漏れた液がかからないような構造になっていた。液漏れ対策が進歩していることが理解できた。

 電池は必ず液漏れする。これを放置すれば、機器は必ず故障する。液が漏れても、機器が故障しないように配慮し、製品の実装設計をすべきだ。読者にはこれを理解し肝に銘じてほしいと思う。

 今回は何とか代わりのCPU基板を安価に購入できたので何とか装置の修理を完了できた。しかし電池が液漏れしたCPU基板をそのまま捨てるのは、修理技術者としてのプライドが許せない、何とかこのCPUボードを生かすことができないだろうか。この結果は次回に紹介する。

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