特集
ブラシレスDCモーターの利点と課題解決例:ブラシ付きモーターに置き換わりつつある(3/4 ページ)
ブラシレスDC(BLDC)モーターは、その技術的優位性と高効率性により、多くの既存アプリケーションにおいてブラシ付きモーターに置き換わりつつある。BLDCモーターの利点を紹介するとともに、制御が複雑なBLDCモーターへの移行課題を解決する1つの例を紹介する。
ハードウェアとソフトウェアの相互作用および回路ソリューション例
モーション制御システム内部でハードウェアとソフトウェアの効果的な相互作用ができるかどうかは、利用可能なチップ周辺機能にどのような機能があるかに依存する。表2は、図2に示すシステムを、センサーレス6ステップ転流方式の採用とともに、回転数と電流の制御、診断と通信スタックの機能も組み込んで実現するためのアプローチをまとめたものだ。ソフトウェアアーキテクチャは、例えば、割り込み付きの単純ラウンドロビンでよい。
機能 | 予備機能 | 周辺ブロック | インターラプト | 備考 |
---|---|---|---|---|
システム全体およびバックグラウンドでのタスク | ソフトウェアタスクの周期コール | CPU/ソフトウェア、タイマー/ARM SYSTICK | タイマー/ARM SYSTICKタイマー | 周期的なタスクの実行用 |
モーター制御 | モーター駆動/モーターステートマシン | MOUTx、EPWM、BEMFC、CAPCOM | EPWM、BEMFC、CAPCOM | 通信、PWM変調、アクティブ/パッシブフリーホイーリング、逆起電圧の評価 |
RPMおよび電流制御 | タイマーまたはEPWM | タイマーまたはEPWM | モーターステートマシン内での周期的タスク | |
モーター電流の測定 | ADC | EPWM、ADC | 電流サンプリング時間によるEPWMによってトリガーされるIRQ | |
トルク生成を維持するための定電流 | 8ビットDAC、EPWM | − | 非セルフロックギア上で使用できるようになる。HVCF 4223Fは、この目的のために、“電流制限”機能を補償する。 | |
診断および監視 | ストール検知 | ADC | ADC | ADCの測定を介した周期的タスク |
低電圧/過電圧 | MON/BVDD、コンパレータ | OV/UVインターラプト | 電源をモニタリングするための周期的タスク | |
温度管理用の周期測定 | ADC | タイマー | θJとθAのモニタリング。内部の温度センサーは、ADCで読み取れる。外部のNTCは、ADCによってLGPIOポートを経由する | |
プログラムフローの監視 | デジタルウォッチドッグおよびウィンドウウォッチドッグ | − | プログラムフローのモニタリング。独立して搭載された補助オシレーターの時間をベースにした、ウィンドウウォッチドッグ | |
診断データの保存 | NVRAM | − | 例)カウンターのように周期的に変動するミッションデータの保存。ソフトウェアのバージョンのように、一度のみ変更されるデータの保存 | |
通信 | LINバスのソフトウェアスタック | LIN-UARTおよびLINポート | LIN-UART | LIN2.xの仕様による |
[略記]ADC=A-Dコンバーター/BEMFC=Back Electromotive Force Comparator/CAPCOM=Capture Compare Timer/EPWM=Enhanced Pulse-Width Modulator/LIN=Local Interconnect Network/MON=Supply Monitoring Pin/MOUTx=搭載されたモーターブリッジの端子 |
このシステムに対する基本回路ソリューションの概要を図3に示す。モーター用の外部部品数は最少12個まで減少する(図3内の表を参照)。特別なシステムESDおよび/あるいはEMC要求がある場合は、例えば、DC給電リンクあるいはLIN信号パスにフェライトビーズなど幾つかの付加部品が必要だ。
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