平均消費電流5.0μAを実現、ガスセンサー向けAFE:新日本無線 NJU9101
新日本無線は2016年6月15日、電気化学式ガスセンサー向けのアナログフロントエンド(AFE)「NJU9101」の量産出荷を開始したと発表した。今回、低消費電力のオペアンプとA-Dコンバーターを新たに開発。これにより、平均消費電流約5.0μA、高RFノイズ耐性を実現したという。
無線機による誤動作を防止
新日本無線は2016年6月15日、電気化学式ガスセンサー向けのアナログフロントエンド(AFE)IC「NJU9101」の量産出荷を開始したと発表した。電気化学式ガスセンサーは、一酸化炭素やアルコールガスなどを電気分解したときに発生する電流を濃度として検知する。
同社は今回、オペアンプ、A-Dコンバーター(ADC)、信号処理回路を1チップ化した。オペアンプは、同社がこれまで培ってきたアナログ技術をもとに低消費電力製品を開発。ADCも、低消費電力の16ビットデルタシグマ型ADCを新たに開発した。これにより、ガス検知器の小型化、低消費電力化を可能にするという。
一般的なセンサーの運用方法で使用した場合の平均消費電流を試算すると、NJU9101は約5.0μAとしている。同社は「条件にもよるが、他社製品の平均消費電流は約10.0μAである。つまり、NJU9101を活用すると消費電力半減を期待できる」とする。
また、ローパスフィルターを工夫した高いRFノイズ耐性を持つオペアンプを内蔵。これにより、携帯型のガス検知器とともに無線機を併用したとしても、無線機から放射される電波の影響を受けて、AFEが誤動作することを防止できる。
アナログ技術を生かした新規事業
AFEは、同社にとって新規事業になる。AFEを開発し始めた経緯について、同社は「ガス検知器の音声用アンプを以前からメーカーに提供してきた。その中で、ガスセンサー検知器のAFEがディスクリートで構成されていることが分かった。IoT(モノのインターネット)がトレンドとなる中で、センサーの需要も増えているため、今まで培ってきたアナログ技術を生かしたAFE開発を新たに始めた」と語る。
将来的にはNJU9101をシリーズ化し、「A-Dコンバーターの精度を高めることで、圧力センサーや温度センサー向けAFEの開発も進めたい」(同社)とした。
NJU9101の電源電圧は2.4〜3.6V、動作温度範囲は−40〜85℃である。3ビットのチップアドレスにより、1つの検出器で最大7種類のガスを検知可能。外付けEEPROMを接続し、AFEの起動時に自動的にメモリ内容でセットアップすることもできる。
パッケージは4mm角のEQFN-24-LEで提供される。評価ボードやGUIツール、USBケーブルを合わせた「評価キット」も提供する。生産計画は、月産5万個を予定。2016年6月から量産を開始しており、1000個購入時の参考単価は350円としている。
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