Z-Waveの相互互換性を紐解く:IoT時代の無線規格を知る【Z-Wave編】(2)(2/2 ページ)
前回は、海外を中心に普及が進む無線規格「Z-Wave」の国内動向を中心に紹介した。今回からは数回に分けて、Z-Waveがなぜ相互互換性を実現できているのかについて、ひもといていく。
IDはどのように振り分ける?
ネットワークにノードを追加することは、インクルージョンと呼ぶ。ノードを削除することはエクスクルージョンと呼んでいる。Node IDを設定できるのは、ネットワーク内に1つだけと規定された「Gateway Primary Controller」である。
Home IDは、Z-Waveアライアンスにより管理されており、完全にユニークな番号が付加される。ゲートウェイには、工場からの出荷時にHome IDが付加される。
なお、Z-Waveでは、複数のゲートウェイが同じネットワーク、同じHome IDで動作することを求めている。Primary Controllerとして既に動作しているゲートウェイがあるネットワークに、追加でゲートウェイをインクルージョンした場合、追加されたゲートウェイは「Secondary Controller」として、Home IDとNode IDが割り振られれる。
一方、スレーブデバイスとなるセンサー類は、工場出荷時には、Home IDもNode IDもなく出荷される。実際に使用する際は、インクルージョンされたとき、ゲートウェイからHome IDおよびNode IDが割り振られる。
MAC層(Media Access Function)
Z-WaveのMAC層は、最大64バイトまでのPHY(Physical layer:物理層)フレームを使用する。このフレームで規定されたデータが、実際に送受信に使われる。
<構造>
・Home ID:4バイト
・送信元のNode ID:1バイト
・フレーム制御データ:2バイト
・フレームの長さ:1バイト
・送信先のNode ID:1バイト
・データ格納部分:最大54バイト
・チェックサム:1バイト
フレーム制御のデータは、ヘッダのタイプ指定、スピード、ルーティングされたフレームかどうかのフラグ、シーケンスナンバーなどが格納されている。フレームの最後には、チェックサムが付加される。データを間違いなく送受信できたか確認を行う。
<データ送受信のシーケンス>
(1)データパケットの受信
(2)チェックサムの確認→間違いがない
(3)Home IDの確認→Home IDが一致
(4)Node IDの確認→送信先に指定された受取り側のNode IDが一致
(5)Ack(受取確認のデータパケット)を送信
次回は、Z-Waveのルーティングによるメッシュネットワークについて解説し、なぜZ-Waveが相互互換性を実現できているのかを、引き続きひもといていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 今さら聞けない5G入門、要件実現に向けた新技術
2020年の一部商用化に向け、2017年より実証実験が日本でも開始される見通しの5G(第5世代移動通信)。通信事業者や大学、計測器メーカーがその要件実現に向けて精力的に研究開発に取り組む。本連載では、計測器メーカーであるローデ・シュワルツの視点から5Gの動向をお届けする。 - Google傘下が主導した無線規格「Thread」とは
家庭やオフィスに無線メッシュネットワークを形成し、丸ごとインターネットに接続できる低消費無線通信の新規格「Thread」。Threadは、Wi-FiやBluetoothなどの既存の無線規格で実現することが難しいIoTの世界を実現する。今回は入門編として、Threadの基礎を紹介する。 - メッシュネットワーク技術「TSCH」とは
無線でセンサーデータを収集する必要のある産業用IoT(Internet of Things)。そうしたワイヤレス・センサー・ネットワーク(WSN)を構築する上で、TSCH(Time Synchronized Channel Hopping:時間同期チャンネルホッピング)と呼ばれるメッシュネットワーク技術が注目を集めている。TSCHとは、どのような技術なのか――。詳しく紹介していく。 - サブギガヘルツ帯Wi-Fi「IEEE 802.11ah」とは
規格策定が進む新しい無線LAN/Wi-Fi規格「IEEE 802.11ah」。802.11ahとは一体、どんなWi-Fiなのか。ユースケースや使用周波数帯といった基本からドラフト仕様、計測/試験における課題までを紹介する。