Z-Waveで互換性維持の要となるコマンドクラス:IoT時代の無線規格を知る【Z-Wave編】(4)(2/3 ページ)
ホームネットワーク向け無線規格として、海外を中心に普及が進む「Z-Wave」について解説していく本連載。今回は、互換性維持の要となるコマンドクラスのアーキテクチャについて紹介する。
スレーヴにおける4つのRole Type
スレーヴにおける4つのRole Typeでは、Z-Waveネットワークの設定はできない。
Portable Slave(PS)は、位置が特定できないスレーヴとなる。常にスリープしており、イベントが起こった時に動作する。ローコスト向けリモコンが対象である。
Always On Slave(AOS)は、常に通電しているスレーヴである。メッシュネットワークの中継機能を持つ。壁埋め込みのスイッチ、スマートタップが対象である。
Listening Sleeping Slave(LSS)は、Z-Wave特有の機能となる。バッテリー駆動のスレーヴに対して、よりリアルタイムで動作するように、まるで常時通電しているスレーヴのように動作する工夫がされている。ドアロックや火災報知機を想定している。
LSSでは、コントローラから送信される「Beam」というプロトコルリクエストフレームをトリガーに、任意の期間動作を維持する。設計者は、250〜1000ミリ秒の間でスリープ期間を設定できる。スレーブは、この任意のスリープ期間から抜けて動作した際に、Beamを受信するとスリープ状態になることを中止し、指示された動作を行う。
Reachable Sleeping Slave(RSS)は、バッテリー駆動のスレーヴで、中継機能を持たない。ドアロックや火災報知機などが対象になる。死活監視機能を持つ。
コマンドクラスのアーキテクチャ
Z-Waveにおいて、アプリケーションレベルでの互換性維持の要となっているのがコマンドクラスのアーキテクチャである。コントローラ、スレーヴ間のやりとりは、コマンドクラスにのっとって行われる。そのフォーマットは、全て共通だ。
コマンドクラスはIdentifier(識別名)として、1バイトで管理され、現在255まで規定できるが、将来的に2バイトにすることを想定し、2バイト分リザーブされている。この場合、4000まで規定できる。Identifierのリストの一部を下記に示す。
コマンドクラスで規定された上で、コマンドおよび付加されるデータが続く。
コマンドには、3つしかない。「Set」「Get」「Report」である。例えば、コントローラがスレーヴに対してパラメータ値を設定するSet、コントローラがスレーヴのデータを取得するGet、スレーヴがコントローラにデータを報告するのがReportとなる。
下記に、Setコマンドの例を挙げる。コマンドクラスはバイナリースイッチ(単純なオン/オフ機能)に対して、値を設定するコマンドフォーマットになる。
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